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一応警察病院で診てもらって、スタンガンでできた火傷があるぐらいであとは問題なかったので俊くんに家まで送ってもらう。
途中で俊くんが警視庁に置いてある車を取りに行って。
「A、着いたよ」
せっかくのドライブもあっという間に終わってしまった。
でも家に帰るまでに一つ確認したいことがあった。
「あのさ、俊くん」
「何?」
「あのときさ、俊くん、俺のAって言ったよね」
俊くんの黒目が少し揺れる。
「……言った」
「俊くんは私のことどう思ってるの?」
ついに訊いてしまった。
でもこのまま曖昧ないとこ同士の関係のまま俊くんの甘さをもらい続けるのには限界があった。
「A、俺の心を見て?」
「えっ?」
いつも俊くんの心が見えないから困ってるのに。
「いいから、見て」
「分かったよ」
私は俊くんの目を見る。
そこから伝わってくるものは。
(俺はAのことが好き)
「…………」
その声も伝わってくるような気がして目頭が熱くなる。
「……口で言ってよ」
「……俺はAのことが大好き」
俊くんの顔をちゃんと見たいのに涙で滲む。
「A」
俊くんの腕の中に入れられる。
「あのときは本当にごめん。親たちからAとは駄目って口酸っぱく言われて、逆らったらどうなるんだろうって思っちゃって、断ってしまった。本当は昔からずっとAのことだけが好きだった」
「私だって、俊くんのことずっと……」
好きって言いたかったのに言えなかった。
俊くんにキスをされたから。
数秒触れ合って離れ、俊くんの指が私の涙を拭う。
「泣かないでよ」
「無理」
「そうだよね。ごめん」
「ごめんはもういいから」
「じゃあ今までの分いっぱい好きって言うから」
「うん。……私は俊くんが大好き」
「俺も」
大好きだよという言葉と一緒にまた唇が重なり合う。
そして何度も何度も触れ合って。
私は長年の想いが叶って、俊くんの心が見えて、嬉しくて嬉しくてたまらなかった―――。
to be continued
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時