* ページ45
・
「皆、もういいよー」
「は?」
するとけたたましい機械の音がした。
倉庫のドアがチェーンで巻かれているからね。
「は?誰だよ」
扉の隙間からチェーンソーが入りチェーンが切られていく。
そしてドアが開かれた。
扉の先にいたのは。
「俊くん、皆」
「A、お待たせ」
俊くんは綺麗に笑った。
「おっお前は知ってるぞ」
奥村が俊くんを指差す。
「だよね。俺はAのいとこで同じ大学だったしね。あと組織の人たちから聞いてるよね。そして今日あと一つ俺のこと教えてあげる。刑事なんだよね」
俊くんは警察手帳を見せる。
「あのさ、俺のAに何してくれてんの」
俺の?あれ複数形じゃない。
「俺は、『幸せの街』に関わってる人間だぞ、捕まえられんのか」
奥村の言葉に俊くんは口角を上げた。
「お前末端の人間だろ?組織はただの足がどうなろうが興味ないよ。むしろ末端であることに感謝しないと。お前結構やらかしてるから特殊能力持ちの人間だったら殺されて水の中で発見されるか土の中で発見されてたと思うから」
「なっ……」
俊くんのなかなかな発言に奥村は汗が止まらないようだ。
「俺としてもお前が生きてくれて心底良かったと思ってる。お前が特殊詐欺グループを率いてたこと、投資詐欺をやったこと、小笹さんの家から高級品を盗んだこと、そしてAを監 禁したこと、全部証拠があって、色々な罪でお前を叩けるんだから」
俊くんに追及されたら後がないぞなんて思いながら奥村を眺める。
「A、こいつどうしたい?」
「私はこいつのことどうでもいいから皆さんのご自由に」
「Aさん笑顔が怖い。じゃあ仰せのままに。皆の者、姫のご命令です」
「OK」
「さすがに俺も頑張らないと」
「俺押さえとくよ」
「俺は手錠用意」
「俺は触れないから念を送る」
「殴るのは任せとけ」
6人が奥村に向かってる中、俊くんが私を縛っていたものを取ってくれる。
すると俊くんの腕が私を抱きしめる。
「俊くん……?」
「A、無事で良かった」
「助けてくれてありがとう」
「Aがどこにいようと俺は探し出せるからね」
「そうだね」
「怪我ない?」
「うん、平気」
6人の方に目を向ければ奥村は見事にやられていた。
・
36人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時