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目が覚めて真っ先に思ったことは縛られてるな、だった。
目を動かして情報を得る。
どこかの倉庫っぽい所だ。
「A、目覚めた？」
その声を聞いたときやっぱりなと思った。
「久しぶりじゃん。奥村くん」
どうやら彼一人しかいないようだ。
「俺がヤバい状況なことにまさかAが絡んでたとはな。何？昔の恨み？」
「まさか。小笹さんに写真を見せられるまで顔さえも忘れてたよ。私は小笹さんのご依頼に応えただけのこと」
「あの女の両親のせいでさ、せっかく良い女見つけたと思ったのに」
「金のある女ってわけね。どうせ結婚詐欺するつもりだったんでしょ」
「そのつもりだったんだけどさ、調べられてるって分かったからブランドバッグやジュエリー売ってやったよ」
どこまでも最低な男。
小笹さんのご両親は慧眼だったと言える。
「自分の経歴はともかくご両親まで設定作ってどういうつもりだったの？」
「バレる前に金を取るつもりだったんだよ。まあ両親からは勘当されてるからどっちみち会えないけどね」
そりゃ息子が怪しいことばかりしてたら縁も切りたくもなるだろう。
「私の友達から聞いたけど、あなた宗教勧誘してたんだって？あとネズミ講。あと黒岩くんから聞いたよ？投資詐欺に遭わせたんだって？」
「あいつ嘘の情報にまんまと引っかかって滑稽だったね」
「……あなたと『幸せの街』ってどういう関係？」
「俺はただの手下よ。高校の時に声をかけられてからね。俺に特殊能力があればもっと上にいけるんだけどね」
「だから私と付き合ったんだ」
「元々可愛い女だと思ってたよ。でもその女が『幸せの街』の重要ポジションの血筋の女だって教えてもらってさ」
「でも浮気した」
「だってお前は俺のこと好きじゃなかったじゃん。そんな女と付き合ったってつまんねえじゃん」
そのあたりはこいつの独断で動いたのだろう。
「どこまでがあなたの単独行動？」
「えっ？投資詐欺や結婚詐欺。あそこでやってる仕事って入る金はでけえけどほとんど組織に持ってかれるからさあ」
思った通りかなって思っていたら。
「というかさ、A何でそんな冷静なわけ？お前のそういうところが苦手でお前に何も持ち込めなかったんだよね」
「何でって」
だって私だって分かるから。
近くに大好きな人がいるってことぐらい。
その周りには私の信頼してる人たちがいるってことが。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年11月22日 15時
