* ページ40
・
翌日黒岩くんが持ってきた情報は刑事組と玉ちゃんに提供した。
双方の調べにより黒岩くんはマジの被害者だと分かりホッとした。
そして私とみっくんは報告書をまとめ、小笹さんを呼び寄せた。
「で、どうだったんですか?彼はちゃんとエリートですよね?」
小笹さんの目はキラキラしていた。
今からその目を曇らせてしまうのは確実だ。
「残念ながら……小笹さんの知っている奥村さんは全くの偽りの姿です」
「は?」
みっくんの言葉に早速目の色が変わった。
私はその証拠の写真を見せる。
「彼の父親は工場長、母親はパート、勤務先はこちらのビルです」
「取引先では?」
「いえ。おっしゃってた企業に通勤される様子は一切見られませんでした」
「彼はここで何を?」
「そうですね……金の貸し借りだったり、詐欺や怪しいセールスだったり……」
小笹さんの顔が少しずつ青ざめていく。
「あの先日言ってなかったんですが……」
ここからは私の番。
「実は大学生の時奥村さんと付き合ってまして」
「は?」
「本当に偶然なんですけどね。で、同級生に話を聞いたところ宗教勧誘、ネズミ講、投資詐欺をしていたことが分かりました」
「…………」
「こんなの多分ん予断と偏見で申し訳ないんですけど……小笹さん何か呼びかけられてませんか?また身の回りの貴重品は大丈夫でしょうか?」
「……ありがとうございました。ちょっと調べてみます。……親にも言わないと。これ依頼料です」
彼女のカバンから銀行の封筒が出てきた。
「ありがとうございます」
「……失礼します」
小笹さんはまさに意気消沈といった様子だった。
「何かあればご連絡下さい」
「はい……」
最初の勢いはどこへやらな感じで小笹さんは帰っていった。
「私たちの仕事はここまでだよね」
「ああ、今のところはな。あとは刑事たちがやってくれるさ」
「そうね」
私たちのご依頼は奥村の素性を調べること。
それが分かった今私がすることはない。
と思っていたのに数時間後。
事務所の電話が鳴った。
みっくんは外出していて私一人だった。
・
36人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時