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というわけで翌日から調査。
由夏と真冬に連絡を取り、閉店後の喫茶店に来てもらった。
「ごめんね、仕事終わりに」
「それはいいんだけど、調査協力って?」
今日はワッターのコーヒーを二人に提供することにした。
グルメ雑誌編集者の由夏が美味しいと言ってくれたので良かった。
「2人は私の元彼の奥村忠大って覚えてる?」
「覚えてる」
「学科で目立ってたし」
「その人の素行調査を頼まれてさ。奥村くんの今の交際相手が依頼してきて。結婚を考えてるらしいんだけど両親から反対されてて、彼がクリーンであることを証明して欲しいんだって」
私もコーヒーを一口飲んで。
「でもさ依頼人の話した奥村くんのプロフィールと私の知ってるプロフィールが違ってて。ただの素行調査で終わらなさそうだから2人にも話を聞きたいなと思ったの」
「Aはさ……」
少しためらい気味に口を開いたのは真冬だった。
「奥村くんのことどこまで知ってる?」
「そう訊かれたらそこまでだと思う。付き合ってたと言っても深く関心があるわけじゃなかったし」
「それ正解だったと思う」
「その心は?」
試しに真冬の顔をじっと見る。
伝わるのは……怒り?
「彼、宗教の勧誘してて」
「その口ぶり、真冬は引っ掛かった?」
「正解」
真冬の眉間に皺が寄った。
「私その時バイト先の人との関係が良くなくて、それが顔に出てたみたいで奥村くんに宗教の勧誘をされて。一回のこのこついていっちゃって、でも話を聞いてもらったらスッキリできて……」
「何か高額の物を買わされた?」
「いや、未然に防いだ。なんか安そうなペンダントを10万で提示されたら冷めちゃって」
「それなら良かった。そういうのって底なし沼だから」
「でもそれ以来怪しげなメールや電話が今でも来てて……咄嗟に嘘の個人情報書いたのに」
「それ良かったらうちで調べようか。うちの人たち凄いから」
「いい?じゃあまた相談する」
「ちなみにその団体の名前は?」
「『幸せの街』」
少し私の思考が止まる。
これはみっくんに報告だ。
「……その元凶が奥村くんだったわけね」
「そう。私がAの友達だったからかな」
「なんて奴。……由夏は何か知ってる?」
「私は被害に遭ってないけど、奥村くんネズミ講をしてるって話聞いたことあるよ」
「……なんかつついたら犯罪のオンパレードそうだな」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時