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小笹さんによると奥村はとある広告代理店に勤めており、彼女とは合コンで知り合ったという。
ご両親は健在で父親はとある商社の部長クラスで都内の一等地に実家があるという。
これのどこが怪しいのか小笹さんは憤った。
その後は事務的なやり取りをして小笹さんは帰っていった。
さて、私は言わなければならない。
「素行調査ね。まずは俺とAで……」
「みっくん。こいつは徹底的に調べた方が良いですよ」
「この人と知り合いなのか?」
「大学生時代の元彼です」
「お前元彼何人いるの?」
「各時代に一人ずつですね、中学生時代から」
「中高は平気か?」
「多分……」
「で、その当時の奥村さんはどうだったのよ」
「就職先は分かりませんが、私が知っているご両親のプロフィールとは違いますね。お父さんはどこかの企業の工場長、お母さんはパート、実家は都内郊外の3LDKのマンションだったと記憶してる」
「……随分と盛ってるな」
「それも嘘かもしれない。やるなら徹底的にやった方が良いかも」
だから私は小笹さんの諸々の言葉を聞いた瞬間嘘で塗り固められてると思ったのだ。
みっくんは数秒私を見た後。
「大学時代だったらこの間のお友達たちに話聞けるか?」
「うん」
「じゃあAは自分の交友関係から調べて。玉ちょっといい?」
みっくんは玉ちゃんの部屋のドアをノックした。
「何?調査?」
「そう。この人物、奥村忠大さんっていうんだけど、Aの元彼で……」
「元彼?A元彼何人いるの?」
みっくんと同じことを訊かれた。
「中学時代から各時代に1人ずつ」
「で、こいつを調べろってことですね。ちなみに依頼人はどなた?」
「小笹今日子さんという人。奥村さんと付き合っていて結婚も考えてるけど両親からは反対されてて、潔白を証明するためにうちに来たらしい」
「だけど彼女の言った奥村のプロフィールと私の知っている彼のプロフィールが違うの」
「それは依頼人に対して話を盛ってるかどちらも嘘か、だよね」
「でしょ」
「OK。こいつとあと依頼人も調べとく。ちなみにA」
「何?」
「何でこいつと別れたのか訊いていい?」
「向こうの浮気」
「…………」
なぜかみっくんと玉ちゃんはレスポンスが鈍かった。
「A、歴代別れた理由それ?」
「さすがに中高は違うよ」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時