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Side M
Aはあれからいまいち明るさが足りない。
だからか皆より一層お姫様扱いしている。
今日はずっと俺が彼女をお姫様扱いする番。
約束通りAとお出かけ。
前はテーマパークだったから今回は自然に溢れたところと思って景色の良いところへ。
ロープウェイで山の頂上まで上がる。
「晴れて良かった」
「だね」
山の上から景色がどこまでも広がっていて空気も良くて気分が良かった。
近くのベンチに座る。
隣のAはニコニコと俺を見る。
「俊くんありがとう」
「どういたしまして」
「というか皆に心配かけてるよね」
Aは申し訳なさそうな顔をする。
本当に優しい子。
「仕方がないよ。なかなかな出来事だったわけだから」
「うん。……まだ少し引きずると思う」
「いいよ、Aのペースで」
Aは少し遠い目をした。
こういう表情は少し珍しかった。
「俊くんはさ、6人と長い付き合いなわけじゃん?」
「そうだね。子供の頃からだから随分と長い」
「その秘訣って何?なんだか私友達とか友情が分からなくなって……」
俺の頭の中に6人の顔を浮かべる。
6人に対して思うことは。
「6人がそれぞれどう思ってるかは分からないけど……俺はね6人のこと凄いと思ってるし、かっこいいと思ってるし、尊敬してる。6人といると自然体でいられるし、皆面白いし、俺は大好き。特別ベタベタするみたいなことはしないけど、長年良い距離感でいるから阿吽の呼吸で行動できるし、良いチームワークだなって思ってる」
これ答えになってるかなと思いながらAの顔を見る。
「そういうの良いな。憧れる」
少しでも信じてた人からああいうことを言われたら不信になっちゃうよね。
でもさ。
「逆にAは6人に対してどう思ってるの?俺はいとこっていう絶対的な立ち位置があるけど」
言ってて少し胸が痛くなったのは秘密だけど知りたくて尋ねる。
「うーん……玉ちゃんニカちゃん千ちゃんは年が近いから友達って感じかな。みっくんワッターガヤさんはお兄ちゃんって感覚かな」
「他には?」
「そうね……私あそこに来て半年経つけど、皆と一緒にいて嫌だなって思ったこと1回もないよ。女王様とかって弄られるけど愛のあるものだって分かってるし。私はグランシャリオ探偵事務所を居心地の良い場所だって思ってるよ。捜査も頭を使えて楽しいし、喫茶店も楽しいし、とにかく毎日が楽しい」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時