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そして私の皆が言う女王様のスイッチが入る。
「うるさいのはどっちよ。人の作った紅茶を吹っ掛けるなんて何様のつもり?何で望美を殺すまで考えちゃうわけ?人の命を絶たせるなんて最低」
「何とでも言えばいいわ。私はねあんたたちのこと好きなわけじゃないのよ。由夏や真冬は何の取柄もないし、望美はずっといけ好かなかった。Aだってあの人に告白されてたでしょ。でも断ったから殺さないでおいたのよ」
嗚呼、なんて醜い。紗知だって見た目は良いのに。
「じゃあ何で私たちと一緒にいたの」
「そんなの優越感を得るために決まってるじゃない」
嗚呼、どこまでも最低。何で彼女を友達と思ってたんだろう。そもそも友達って何だろう。よく分からなくなってきた。
「こないだの彼氏自慢もドヤ顔すごかったもんね。事件の後に会ったときも葬式の時もドヤ感が聞こえてきてたまらなかった。少しは隠す努力しなさいよ……」
なんかもう無理だった。やっぱり友達だと思ってた人を責めるのはつらい、友達を亡くしたのもつらい、全部がつらい。
「今度は泣き落とし。泣けばいいと思ってるなら……」
「ストップ」
事務所のドアが開かれ、刑事組が出てきた。多分ガヤさんが聞き耳を立てていたのであろう。
「えっ警察いたの」
「高橋紗知さん署までご同行願えますか?」
「警察がいるだなんて聞いてない」
「言ってないからね」
そう言って俊くんは私の頭をポンポンとした後。
「前谷はあなたの関与を認めています。何日も前にね。なのに今まで泳がせてたのはAのためであり、あなたのためでもあったんですけどね。……確かにお通夜の際のあなたのドヤ顔は笑いそうになるぐらいでしたよ。それにあなたはたった今Aを傷つけた。覚悟しといて下さいね」
俊くんは真顔で告げた。これもまた怖かった。
そうして紗知は連行されていった。すると5人が一気に出てきた。
「A、平気?」
「まさかあの女に紅茶かけられた?」
「火傷してない?」
「あの女、俺の紅茶を粗末にして」
「A、家のシャワー浴びてこい。着替えは俺のでいいなら貸すよ」
「うん。ありがとう」
いつもは好き勝手言っちゃう人たちだけど、こういうときにはちゃんと優しいんだよな。
今の私にはこうして私をちゃんと大切にしてくれる人がいる。
だからこの人たちのことをちゃんと大事にしようと裏切られた今だからこそ強く思った。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時