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真冬の言葉に現場の残像が目に浮かぶ。
慣れたとはいえきついものはきつい。
「明日?明後日?」
「そこまでは詳しいことは分からないけど色々調べたいこともあるだろうから明後日かな」
「分かった。上司にそう言っておく」
皆会社勤めだもんね。
私も喪服出しておかなきゃと考えていたら。
「A、どうよ」
みっくんが帰ってきた。
何となく思ったより早い。
「お帰りなさいませ」
「初めまして。グランシャリオ探偵事務所の北山と申します」
「初めまして」
みっくん外面良いもんなと頭を下げる友達を見て思った。
もちろん中身も悪くないけどさ。
(A、ちょっと話したいから友達たち退散させてくれない?)
次はみっくんの声。
会話はできないけど意思表示が可能だから便利だな、私の力。
「中辻さんについて何か情報はありますか?どんな些細なことでも構いません」
「すみません……」
みっくんが尋ねても答えはさっきと同じだった。
これはもうしょうがない。
「ごめんね、皆。来てくれてありがとう。また連絡すると思うけど明後日また会おう」
「分かった」
「じゃあ」
「またね、A」
3人は喫茶店を去っていった。
「で、みっくん、話というのは?」
「おっ俺の意思伝わったか?」
「みっくんとは周波数が合うから意思を飛ばしてくれたら伝わると思う」
「なるほどな。コツが分かってきたわ」
そう言いながら事務所の方に入るので私もついていく。
みっくんはソファに座ったので私もその向かいに座る。
「刑事組の後についていってひとまず中辻さんのご遺族と職場の人から話を聞けた」
「どうだった?」
「彼女、元彼からストーカーされてたっぽくて。あれこれ対策しようと思ってたところで事件に遭ったらしい」
「だからスマホがなかったの?」
「多分な。関わりを示すものを持っていった可能性が高い」
「そいつの名前は?」
今すぐそいつをとっ捕まえて裁かれて欲しかった。
「前谷孝弘。中辻さんとは共通の知人の紹介で付き合うようになったが破局。その後元彼はストーカーと化した」
「もしかしてこの人?」
すると玉ちゃんが部屋から出てきた。
「中辻さんの家の周囲を調べてみた。今日だけじゃなくて遡ってみて。そしたら同じ男がヒットした」
玉ちゃんが見せてくれたタブレットには黒のパーカー姿の男が映っていた。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時