〈File9〉 ページ15
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今日は探偵事務所も喫茶店も休みにしてもらって、友人との集まりに向かった。
みっくんやワッターにそう伝えたら友達いたんだと超失礼なことを言われた。
何度か言ってると思うけど私にだって友達はいるんです。
今だって事件で知り合った大久保さんや伊坂さんとは喫茶店に来て下さったときは親しくさせてもらってるし、信根さんとも連絡し合ったりしてるんです。
というわけで今日は大学時代の友人との集まり。
同じ学部で好きな分野も一緒だったことから仲良くなった。
性格はそれぞれ、仕事場もそれぞれ、価値観もそれぞれだけど、だから面白いなと私は思ってる。
5人で注目の映画を見た後は友人の一人、鈴木由夏が予約したお洒落な居酒屋に入った。
由夏は出版社で働いていてグルメ雑誌を担当しているのでそういうのに明るい。
私はつい席に着きながら薬とか盛られないよね?と考えてしまうのはこの半年間のせいと片付ける。
普段自炊かワッターのご飯で済ましてるせいだと片づける。
「じゃあかんぱーい」
「かんぱーい」
乾杯の音頭を取ったのは高橋紗和。
私たちの中ではリーダー的存在で現在は大手企業でバリキャリをしている。
「そういえばA、聞きたかったことが」
こう言ったのは中辻望美。
この中だと一番成績が良かった。
今は地元で公務員をしている。
「『EMコンツェルン』のことでしょ?」
反応したのは桑畑真冬。
この中では一番優しい性格。
銀行で営業事務をしている。
「あー……」
どう説明しようかなと考える。
「大騒ぎになってたよね」
「一時期のニュース全部それだった」
「さすがに辞めたでしょ」
あれ私たちが仕掛けたことなんですと思いつつ。
「実は……その騒動の前に辞めさせられて」
「えっ何で」
「上の人の逆鱗に触れちゃって」
「A、大学時代から言うときは言うタイプだったもんね」
「まあ、ね」
「でもラッキーだったね」
「うん」
いきなりその話題かあと思いながらハイボールを飲む。
「今は何してるの?」
「いとこの伝手で今探偵事務所で働いてる」
「えっ!?」
こう告げれば4人はざわめいた。
さっきまで見てた映画、探偵モノだったもんね。
「あんな感じなの?」
「あんなに派手じゃないし、たまに劇場型なこともするけど、大方地味よ」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時