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「俺が宮田の人間じゃなかったら消されてたかもしれないね。だけど幸か不幸か俺は宮田の人間で、その能力を知られていた。野放しにしたら何をしでかすか怖かったんだろうね。だから閑職を作ってそこに島流しした。おかげで自由な立ち位置だけどさ……」
俊くんは一瞬頭を垂れてからまた私を見た。
「俺さ、あの事件のこと、許さないままでいたけど、Aは忘れたまま元気でいたから、俺もそこまで気にしてなかったの。それがきっかけで警察官になったのは事実だけど、そりゃ調子には乗ってたけど、誰かのために動くことは楽しかった。それなのにまた俺の人生にあいつらは絡んできて、俺の人生にはあいつらが付き纏ってくるのかと思うと絶望して……。Aとの思い出があって、6人との出会いもあそこだから全否定したくないんだけど……俺みたいな人を増やさないためにはあそこをぶっ潰すしかないじゃん」
そして俊くんは射るような瞳を私に向けて。
「俺の組織に対する恨みまだ根深いけど、それでもまだAの王子様の一人でいられる?」
「もちろんだよ。俊くんだって王子様」
その表情は今までで一番かっこ良かった。
私は心底この人のことが好きだと思った。
じゃあ私だけの王子様でいてよ。
その言葉は私の喉は出なかった。
だってまたフラれるのが怖いから。
犯罪者には大胆な立ち居振る舞いができるけど、俊くん相手だと私はいつも肝心の勇気が出ない―――。
to be continued
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年11月22日 15時