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「もしもし千ちゃん？」
「どうしたのA。何かあった？」
「あった。探偵案件にもなりそう。千ちゃんもちろん伊坂さんをご存じよね？」
「えっ伊坂さん来てんの？」
千ちゃんの声のトーンが上がった。
……そういうことか。
「いるよ。彼女が依頼人を連れてきた。どういう方？」
「うちの店の近所に住んでるの。チラシを配ったときから挨拶は交わすし、世間話もする」
だとしたら彼女は信用していいだろう。
目と鼻で人の感情が分かる二人だから。
「お二人仕事はどうなの？」
「丁度ね、終わって帰ってるところ。ちょっとニカをせっついてマッハで帰るわ。じゃあね」
勢いよく電話が切れた。
やっぱりそういう力って凄いね。
次はみっくんにかける。
「もしもしみっくん？」
「A。そっちはどうだ？」
「それが探偵案件になりそうなものが入ってきた」
「……詳しく教えろ」
私はメモを片手に吉田さんの話を聞かせる。
「なるほど。ニカと千賀は？」
「今帰ってるところみたい」
「まずは二人にも依頼人に会わせてそこからだ。あの二人がそう判断したら俺もそっちへ行く」
「分かった。じゃあニカちゃん千ちゃんが帰ってくるまで繋いどくよ」
前職の時もやってたことだから別に嫌じゃないしね。
「引き出せるだけ引き出してくれるとありがたい」
「ご期待に添えられるか分からないけどやっとく」
みっくんとの電話を終え、私は二人の元へ戻った。
「お二人はお時間大丈夫ですか？二階堂と千賀に話を通したいですし、探偵とも話していただきたいですし」
「私は大丈夫ですよ」
「僕もです」
「ありがとうございます。……では引き続き質問させていただきます。行方不明になった心当たりはありますか？」
「彼女の実家、中小企業を営んでいるんですけど……関係ありますかね？」
「一家丸々いないと考えると……。堀さんの家族構成は分かりますか？」
「彼女は一人娘です。彼女とご両親の3人家族です。それより上は分かりません」
「企業を営んでいるということは他の従業員の方もいるんですかね？」
「実は僕と伊坂の会社の取引先でして……失念してました。調べてみます」
吉田さんが立ち上がって店の端まで歩いた。
誰かに話したら見えてくるものはあるよなと思う。
すると伊坂さんが私を見た。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年8月27日 10時
