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「二人は現在外出していまして私が留守を預かっています。ご依頼ですか?」
女性は訝しげに私を見る。
(初めて見る方だけど大丈夫かしら?)
まあそれはそうだろう。
顔見知りがいると思ったら知らん女がいるんだもんな。
「……はい。彼の恋人が行方不明になっていて探して欲しいそうです。以前千賀さんから聞いたのですが、こちらは探偵に繋いでくえるって」
「実は私その探偵事務所から来たんです。矢作と申します」
私は事務所の名刺を見せた。
「じゃああなたが探偵さん?」
「残念ながら私は助手なんですけど内容次第ですが探偵にお話ししますよ。どうぞおかけになって下さい」
「失礼します」
勝手に進めちゃっていいよね?みっくんニカちゃん千ちゃんとここにはいない人に問いかけてみる。
3人ならきっと良いと言ってくれるだろうと判断して私はこの家の冷蔵庫を勝手に使い麦茶をお二人に出す。
ちなみにここはニカちゃんが暮らしていて千ちゃんは自分の家から来ているらしい。
「まずお二人の名前から伺ってもよろしいでしょうか?」
「私は伊坂玖未子と申します」
「僕は吉田和志と言います」
「伊坂さんに吉田さん。失礼ですがお二人の関係性は?」
「会社の同僚です」
「それで吉田さんの恋人が行方不明になったというのは?」
私はメモを取りながら話を聞く。
さすがにみっくんのような記憶力はないからね。
「彼女は堀玲奈というのですが……」
「お写真はございますか?」
「はい。これです」
吉田さんの見せてくれたスマホを見る。
可愛らしい方だった。
「いつから行方不明なんですか?」
「3日前から……。突然連絡が取れなくなって合鍵で家に入ってもいなくて、実家も知ってるので行ってみたらここも誰もいなくて……」
「それは怪しいですね。警察には相談されました?」
「相談したのですが、色々説明したにも関わらず重い腰が上がる様子がなく……」
「それはお気の毒でした」
俊くんとガヤさんだったら放置はしないのになと考えてしまう。
「それで同僚の伊坂に相談したところ、ここならということで……」
「そうでしたか。……私の一存では決められないので少しお時間いただいてもよろしいでしょうか」
「はい、大丈夫です」
というわけで私は別室に入って電話をする。
まずはニカ千のどっちか……千ちゃんにしようか。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時