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「宮田さんみたいな方珍しいですよ。普通こんなことで動揺するなって上官に叱責されます」
「僕はまあ警察の世界じゃ普通じゃないと見られがちなんで。一部の人は僕のことを悪魔呼ばわりしてるぐらいですから」
(悪魔?天使の間違いだろ)
マジのトーンでそう思ってしまった。
俊くんは私をチラリと見ながら。
「悪魔ってどういうことですか?」
「何でしょうね。人をよく見ているだけなんですけど」
(天使って。ちなみにガヤさんは魔王)
(私も魔女とか言われてたな。ちょっと人より鋭いだけじゃんね)
というか俊くん話しながら話すって器用だな。
頭の中どうなってんの。
なんて思っていたら杉山さんの家に着いた。
「俊くん、家の中も調べる必要があるよね?」
「当然。被害者がどうやって東京に来たかを調べる必要があるからね」
現場写真には血が地面に広がってるのが写っていた。
つまり殺しはそこで行われた。
一昨日には杉山はここにいた。
その間のことを推理する必要がある。
「加用さんその橋口さん西山さんというのは……」
「ちょっと駐在さーん」
次に動こうと思った瞬間声をかけられた。
振り返れば女性が2人いた。
きっとグッドタイミングだ。
「ニュース見たけど杉山さんが殺されたってホント?」
「本当です」
「じゃあこの人たち東京の刑事さん?」
女たちの見る目はまさに好奇の目だった。
人が殺されたっていうのにワイドショー感覚で見ていやがる。
(Aさん、カッカしないの)
俊くんは凄いわ。
私も一応の処世術はあるつもりだけどさ。
「そうです。警視庁から参りました」
俊くんはニコッと人好きのする笑顔。
「そうね。昨日の朝外に出たら店が閉まっててお休みなんだと思ったのよ」
「2週間ほど前、富田さんの奥様がこの集落の人間ではない人たちを見かけています。お二人は目撃しましたか?」
「したわよ。怪しげな二人組」
「なんか杉山さんの店をじっくり見てたわね」
多分これは確実な情報。
防犯カメラは……と目を動かす。
あった、店の出入口に。
(あとで玉に調べてもらおう)
(だね)
「一昨日から昨日にかけて何か変わったことありましたか?」
「変わったことね……」
「あったかしら。……あっあったわ。一昨日の夜?昨日の朝方に車のエンジン音がしたわ」
またもや有力情報だ。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時