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奥様?の案内で大広間に通される。
すぐにご主人が現れた。
「警視庁から参りました、宮田と申します」
「矢作と申します」
ここでは省くことにした。
説明よりも事件のことを聞きたいし。
「富田だ。杉山さんが殺されたというのは本当なのか?」
「はい。残念ですが事実です。東京の山中で発見されました」
「といっても我が家と杉山さんの家は少し離れてるし、ご両親が亡くなってからは行事以外で交流がなくてだな……」
「失礼します」
奥様がお茶を出してきた。
「翠、杉山さんについての情報はあるか?最近の方がいいですかな?」
「そうですね。ここ1ヶ月のものがあればありがたいです」
「そうですねえ……。2週間ほど前になりますかね。あなたたちとは違う男女の組み合わせがこの辺りをうろついてましたね。このあたりは観光するところがないですからよその人が来ることが珍しいですから」
それは有力情報だ。
俊くんとアイコンタクトを交わす。
「それは杉山さんの情報というより」
「でも珍しい出来事でしたし……」
「その2人組他の方も目撃してますかね?」
「その日一日はその話題で持ち切りでした」
「奥様その2人の特徴覚えてますか?」
「はっきり見たわけじゃないですけど……男の人は長身で遠くから見てても威圧感がありました。女の人の方は反対に冴えてない感じでした。付き合ってるという感じはしませんでした」
2人組の様子を心の中でメモをする。
複数の証言があれば像が完成するだろう。
「富田さんから見て杉山さん一家はどう映ってましたか?」
「少し変わってましたかね。息子は音に敏感だったようで神経質でした。杉山さんは誰かに紹介されてそれを治すためにわざわざ仙台の施設に通わせてましたねえ」
杉山は聴覚が鋭かったとみられる。
どんどん情報が足されていく。
「息子には甘い印象でしたよ。何でも金を出してて収入はうちと比べてだいぶあるはずなのにうちより栄えてない感じでしたから」
「息子さん子供好きに見えましたねえ」
こう言ったのは奥様。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時