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俊くんは地図アプリを見ながら交番を目指す。
ふと思いついたことを私は尋ねることにした。
「刑事の俊くんと行動して私大丈夫かな。身分はどうしよう」
「こんな言い方ごめんだけど、どっちでもいいと思う。探偵助手と名乗ってもいいし、俺の部下でもいいし」
「嘘つくと辻褄合わなくなりそうだからありのままでいいか。俊くんの迷惑になりたくないし」
「そこまで細かく言われないから平気だって」
そんな話をしていたら交番に着いた。
ごめんくださいと言いながら中に入れば駐在さんがいらっしゃった。
「えっと、もしかしてあなたが」
「はい。警視庁から参りました。宮田です」
俊くんは警察手帳を見せる。
「上から話は伺ってます。私はここで駐在をしている加用と申します」
加用さんは私や俊くんと年が変わらなさそうで警官にしてはフレッシュな空気感がした。
「あの、宮田さんがいらっしゃることは伺ってましたが、そちらの女性は……」
「彼女は協力いただいている探偵です」
「矢作と申します」
またこの人助手を省いてると思いながら探偵事務所の名刺を渡す。
「へえ、警視庁となると探偵さんも関わってくるんですね」
「そうなんですよ」
この人がある種純粋そうな人で良かったとホッとした。
「加用さんはこちらに来られてどのくらいですか?」
「3年になります」
「じゃあこの集落のことは把握できてますね」
「はい。……にしても杉山さんが東京で殺されたなんて」
「杉山さんはどんな方ですか?」
「10年前に地元に帰られたらしくて、家業を継いでご両親を見送られた後は一人暮らしをしてました。余所者の私にも優しくして下さいました」
「ご近所の方からはどう思われていたと感じますか?」
「……口さがない人たちは口々にあの年で独身なんだから訳アリだとか両親は甘やかしてたとか集落の子供たちに声をかけてるのが気持ち悪いと散々で」
少し引っかかる文脈があったので俊くんとアイコンタクト。
(……子供か)
(俺も引っかかった。そもそも何でAに手を出したかの理由が分かってないもんな)
「他に何かありますか?」
「そうですね……あっ昔杉山さんは変わり者だとからかわれたらしくて、それを治すために怪しげな組織に金を出してたとか。あくまで噂みたいでしたが」
それ絶対『幸せの街』なんだよな。
ところで組織の施設って何ヶ所あるの?
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時