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それから遺品の杉山の免許証に書いてあった杉山の住所へ。
その道中玉ちゃんから連絡があった。
「もしもし玉ちゃん?」
「今どこ?」
「今は杉山の住所に向かってる」
「じゃあ宮っちにも伝わるようにスピーカーにして」
私は通話をスピーカーにした。
「俺が調べられる限りの杉山の情報ね。杉山は例の事件の後、九州に飛ばされたんだけど、そこでも何かあったみたいで退会してる」
「玉、組織のデータ見た感じ?」
「うん。普段は入りたくないゾーンだけどAと宮っちのためなので入りました。大丈夫、痕跡は消してる」
「退会できるの?あそこ」
「あまりに問題があれば、だろうね。ったくAの時そうしてくれよ」
「で、その後は地元に帰って実家の家業を継いだんだって」
「家業?」
「月極の駐車場を何個か持ってる。あと個人商店を営んでる。一人息子だったみたいだね。両親は既に亡くなっていて天涯孤独の身」
「じゃあ近所の人に訊けば色々分かりそうだね。そんな人田舎のコミュニティーじゃ噂の的だ」
確かにそうだ。
田舎ほど隣近所の話題に敏感だ。
偏見だろうか。
「今のところ分かるのはそれぐらい。今ミツとガヤが九州に向かっててニカと千ちゃんは現場周辺を洗ってる。となるとワタのご飯は俺が独り占め」
「分かった。玉ありがとう」
「ありがとう。じゃあね」
電話を切ってスマホを仕舞う。
「あれ?メディアの扱いはどうなってるっけ?」
またスマホを取り出してネットニュースのアプリを開く。
なんとかその記事を見つけるレベルで、氏名は明かされていた。
「そこまで大きくは扱われてない?」
「結構謎が多いと思うけどね」
「だよね。東北の人が東京で殺されてるんだもんね」
「となると殺されるまでの足取りが必要だよね。まあうちの玉さんがやってるね」
その後ここだと俊くんが呟き、車を止めた。
色の褪せた看板に杉山商店と書いてあった。
店のドアの前には店主都合により休業という貼り紙が貼ってあった。
俊くんはその写真を撮る。
まさに集落にある個人商店という感じで周囲は道の先に山があり、田畑と家々が等間隔にある、思い描くような田舎の風景だ。
「で、どうするの?俊くん」
「近くに交番があるから行こうか。昨日県警に連絡して俺が行くって話はいってるだろうから」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時