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今回のことは『シュネル』でヤクザが暴れたことと殺人未遂で坂東が逮捕されたことは報道されたけど、私たちの影も形もなかった。
刑事組が配慮してくれたのだろう。
今回のあらましは以下のような感じだ。
オーナーシェフの武市は以前からヤクザと関わりを持っていた。
武市は顧客や従業員の情報を流す見返りに贈与を受けていた。
だけどそれを嗅ぎつける人がいたらしい。
大方週刊誌とかジャーナリストだとかの類だろうけど。
自分の外聞の方が大事だった武市はヤクザと縁を切ることを考えたらしい。
もちろんヤクザがそれをすんなりと聞き入れるはずがなかった。
その頃フロアマネージャーの坂東は不満を抱えていた。
武市から理不尽な叱責が幾度となくあったからだ。
坂東は武市を失脚させたいと考え、キナ臭い噂が事実であると突き止めた。
そして坂東はヤクザと接触した。
両者の利害は一致。
『シュネル』で客を巻き込んだ毒殺事件を計画してしまった。
全ては武市を陥れるため。
しかし坂東は違うことを考えていた。
坂東は客を巻き込む気はなく、口封じのためにヤクザを毒殺しようと思っていた。
向こう側も二の矢を考えていてもしもの時に手下たちを待機させていた。
それであのような状況になった。
以上のことを俊くんとガヤさんから聞いた。
大方こちらの予想通りだった。
結局私の立ち位置は助手がお似合いだと思う。
今回の件を解決できたのは皆が凄いから。
特にガヤさんの耳がなかったら当日何が起きるのか分からなかったし。
とにかく最悪の事態が防げたのは良かった。
事件から3日後、信根さんは事務所にやって来た。
ローテーブルを私、みっくん、ワッター、信根さんで囲む。
信根さんはワッターの紅茶を飲み、美味しいと呟いた。
その時のワッターの微笑みは今までで見たことなかった。
「それで今回の依頼料なんですけど、これを換金して下さい」
そう言って出されたのは高級腕時計2本と高級アクセサリー2品だった。
「これは……」
「手塚からもらったものです。こんなの仕事でつけられないから余っちゃってて」
余るということはこれ以外にももらってるのかなと考える。
「いいの？処分しちゃって」
「いいの。手塚はただあげたいだけでその後は気にしてないから」
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年8月27日 10時
