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その日の晩、皆が事務所に集まった。
俊くんは私に語ったことよりは大まかに6人に伝えた。
だけど普段とは違った語り口だったから皆真剣に聞いていた。
「16年もそれ抱えてたわけ?」
「水臭いなあ。言ってよ」
「だから俺にリサーチの仕方訊いたのか」
「でも俊くんらしいというか」
「らしいけどさ、相棒の俺が知らなかったから駄目」
「まあ最初に話すべくはAだったでしょ。憎しみに走らないお前は立派だよ」
6人の感想はザッとこんな感じ。
言葉の色の違いはあれど、皆温かく俊くんを見ていた。
「うん、皆ごめん」
「俊くん、ごめんはこの件において禁止」
私が明るく言えば俊くんの目が垂れた。
「皆聞いてくれてありがとう。今回の犯人絶対見つけようね」
「ああ、絶対な」
というわけで皆の心は一つになった。
「で、みっくん今回はどう捜査するの?」
「そうね……」
みっくんは少し考えたのち。
「今回Aは宮っちと行動しろ」
「えっガヤさんは?」
「藤ヶ谷は俺とでもいいし単独でもいいし」
「じゃあお言葉に甘えて北山さんと行動させてもらおうかな」
「いいの?警察が民間人と行動して捜査して」
「今更何言ってんだよ。それにお前たちレストランの時に既にやってるし大丈夫」
「分かった。俊くんはいいの?」
「俺はAと捜査できるのは嬉しいよ」
その笑顔にキュンとくる。
(早く付き合っちまえよ)
そんな声が方々から聞こえたけど無視。
だから昔フラれたんだってば。
「まあ編成はそんな感じで。玉はいつも通りまずは被害者の情報を洗ってくれ」
「OK」
「あとはその情報を元にって感じなんだけど……ひとまず宮っちとAは被害者の住んでいる所へ向かえ。何日かかっても構わない」
それって旅行?と思ったけど考え直した。
捜査よ捜査。
「堅実に捜査しますよ」
ほら俊くんもこう言ってるし。
「俺と藤ヶ谷は徹底的に現場周辺を調べるとするか。あとは必要に応じてって感じで横尾さん、ニカ、千賀は動いて」
「了解」
というわけで捜査方針が決まり翌日から捜査を開始した。
杉山の現住所は東北にあった。
鉄道を使って始発から移動する。
平日だから人はまばらだった。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時