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「すぐに大勢の大人たちが来てくれて杉山は取り押さえられた。傍系と言っても宮田家の子供に手を出したわけだから杉山はどこかに連れていかれた。Aは安堵したのか気を失って倒れた」
「その後の私は？」
「しばらくして目を覚ましたけど全然覚えてなかった。その時に施設関連の記憶もほとんど仕舞っちゃったんじゃないかな。あと大人の男性が来ると少し身体がビクッとなってた」
「なんかその辺りも曖昧だな」
「でさ、俺さすがにAをあそこに通わすのはやめようって言ったの。でもなぜか宮田家の面々はAを通わせたいって意見しかなくて。でもAのお父さんがさすがにトラウマがあるならやめたらって言って、お母さんはお父さんの方が大事だから俺の提言が結果的に採用された」
「だから私は施設に通わなくなったんだ」
私を優先的に考えてくれた父親には感謝だろう。
まあ父は外の人間だからね。
それにしても父の声で意見を変える母には呆れる。
「杉山はどうなったの？」
そう尋ねた途端また息苦しくなりそうだった。
ああ、これが俊くんの組織に対する恨みだ。
「杉山の行方を知ったのは俺が中学に入った時。あいつがどうなったのか大人たちに尋ねても教えてくれなかったから、玉に少し教えてもらって組織のデータを閲覧した。そしたらさ、杉山は組織の地方の施設に飛ばされただけで普通に組織にいたんだよ」
「処分軽くない？てか警察は？」
「組織は内々で済ませてた。思うんだけど、それって何かの解決になるの？Aみたいな被害者が増えるだけじゃないの？だったら塀の中にぶち込んで欲しかった」
生の感情を私にぶつける俊くんは初めてだった。
いつも何重にもオブラートを包んで、人好きのする笑顔を浮かべて、時に他人の心を読んで鋭く切り込んでいるから。
「これが組織に対する不信感の始め。俺は何よりもAが大事だからAを傷つけたあいつは許せないし、何のケアをする気もない組織にも無性に腹が立った」
「俊くん……」
すると俊くんの手が私の頭の上に乗って撫でる。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年8月27日 10時
