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「じゃあ玉ちゃんワッター、私も行くから」
「宮っちどうしたの?」
「どうしたんだろう?」
「とりあえず行けば分かるよ。太輔と俊くんによろしく」
「うん。いってきます」
「いってらっしゃい」
というわけで私とみっくんは私と俊くんの天然のGPSを駆使して現場に向かった。
現場は鬱蒼とした竹林だった。
規制線の前でガヤさんが待っていた。
「北山さん、A」
「おう」
「ガヤさん、俊くんは?」
「俊は車の中にいる。でもその前に二人に説明しとく」
ガヤさんが規制線をくぐったのでついていく。
「被害者は杉山広紀さん、51歳。住所はここからずっと離れたところだった。夕方にここの持ち主がたまたま訪れて遺体を発見」
ガヤさんはタブレットでご遺体の写真を見せる。
「鋭利な刃物で十数ヶ所刺されてる。死因はこれによるものだろう」
「なるほどな。よほどの恨みと計画性を感じる」
「俺もそう思う。だからまずはこの被害者がどういった人だったかを知る必要がある」
「被害者の住所がここの近所じゃないなら足が必要だな」
「こっちも県警に声掛けするけど」
「ニカ千にも動いてもらうか」
そう言ってみっくんはスマホで各所で連絡を取り始める。
ガヤさんは私の方を向く。
「Aは今は俊をよろしく」
「うん……」
私は事件現場を出て俊くんのいる車に向かう。
俊くんは後部座席にいた。
窓をノックすればドアが開いた。
「A……」
「ガヤさんに呼ばれて」
「……隣に座って」
私は車に乗り込む。
途端息苦しくなった。
これが俊くんの感情?
なんとなく目で問えば伝わったらしく俊くんは苦笑する。
「ごめん、A」
「謝る要素はなくない?」
「……本当に優しい人はAみたいな人だよね」
「俊くん何があったの?被害者の人知ってるの?」
こう問えば俊くんの目が分かりやすく私から逸れた。
「俊くん」
少し語気を強める。
「Aは知らなくていいんだよ」
「怒るよ」
「たまには怒られてもいいかも」
「大馬鹿」
私は俊くんに近づき腕に巻き付く。
私がこんなことできるの俊くんしかいない。
俊くんの目は丸くなった。
「A、平気なの?」
「俊くんだったら全部平気」
俊くんの目を真っ直ぐ見て言ってやった。
すると俊くんは観念したのか溜め息を零した。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時