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もっと覚えてもいいはずなのに。
みっくんたちのことを何一つ覚えていないのはやっぱりどこかおかしい気がする。
「そういえばA、途中から来なくなったな。宮っちは俺たちに会いに来るって感じだったけど」
「小4から行かなくなったの、それは覚えてる。俊くんは休みの時に出かけててそれが寂しかったのも覚えてる」
今まで考えることがなかったから考えてなかったけど、やっぱりおかしい。
何かあったの？私。
「……A、少し男性恐怖症があるじゃん？」
玉ちゃんが静かに言った。
話の流れ的にしょうがない。
「うん」
「えっマジ？」
「分からなかった」
「と言ってもほんの少しだよ。皆は平気だし、他の人だって話してる分には。でも圧力かけられたり、スキンシップされたりすると困っちゃう」
「そういや玉からのアピはさりげなく断ってたな」
「うん。だからそうなのかなあって思ってAに訊いた」
「玉ちゃんの話の流れ的に記憶の欠落と男性恐怖症気味なこと結びついてるかもって？」
「話の辻褄は合ってるでしょ」
「まあね」
一回俊くんに訊いてみようかな。
でも俊くんは答えてくれるだろうか。
「なんかAの恋バナのはずが違う方向に」
「もっとキュンとする方向にしよう」
「だな」
みっくんもワッターも玉ちゃんもどうして……と思っていたら私のスマホがバイブした。
見ればガヤさんからだった。
「ガヤさんからだ。……もしもし？」
「もしもし、A。今平気？」
「平気。みっくんたちとなぜか恋バナをするぐらいには」
「えっ俺も混ざりたいんだけど。……それはともかく。今俺たちに事件が舞い込んできたから、Aと北山さんにも来て欲しくて」
「私もなのね？……みっくん事件だって」
「分かった。準備する」
「それとさ」
「ん？」
するとガヤさんが小声になった。
「A、俊の話聞いてやってくれない？」
「俊くん何かあったの？」
「なんかいつもの俊じゃないというか。いつもだったら俊の声聞こえるんだけど、今日は無理っぽくて」
「それ私でも無理だよ。というかあの人一番ええかっこしいするの私の前だと思う」
こう言えばスマホの向こうのガヤさんは笑った。
「確かにね。でもAも来てよ。それだけであいつの心が解れると思うから」
「分かった」
私は電話を切った。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年8月27日 10時
