〈File8〉 ページ32
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私がグランシャリオ探偵事務所に来て5ヶ月経った。
探偵の方と喫茶店の方、たまに何でも屋にも顔を出し充実した毎日を送っている。
今日は探偵の方をやってる。
今日解決した調査のまとめをした。
ご依頼は浮気調査だった。
結果は旦那さんの不倫が確定して奥さんは離婚を決意した。
そのまとめが終わった頃、Aとみっくんに呼ばれる。
みっくんはみっくんで依然追っている事件の調査をしていた。
「何?まとめなら終わったよ」
「どうして宮田が好きなの?」
「何、急に」
「なんとなくね。皆気になってるんじゃないかな、あまりにもAが一途だから」
「えっー……」
でも今ここに断る選択肢はなさそうだ。
「何それ聞きたいんだけど」
玉ちゃんが部屋から出てきた。
玉ちゃんも逃がしてくれなさそうだ。
「何か面白いこと始まりそうな感じ?」
「何でワッターも来るねん」
思わず突っ込んでしまったよ。
時計を見たら喫茶店の閉店時間を過ぎていた。
「皆そんなに私の恋バナ聞きたいの?」
「知りたい」
「というか何で私の気持ちバレバレなの?感情の読み取れる人はともかく」
「見てれば分かる」
「Aの呼ぶ『俊くん』、俺たちとは甘さが違う」
「皆で集まってもAずっと宮っちのこと見てるじゃん。丸わかり」
「……ですよねえ」
半ば意識的に行動しちゃってるからしょうがないですよね。
「で、どうしてですよね。……いつだって私の一番の味方でいてくれるし、一緒にいて一番楽しいからかなあ」
「いつから心の声で会話できるようになったの?」
「物心着いたときからかなあ。内緒話してるみたいで楽しかったのは覚えてる」
「俺がAを初めて見たとき宮っちの後ろにくっついてたな」
「そうか、みっくんは覚えてるんだよね。あの時って聞こえてくる感情が全部怖くて……だから俊くんにくっついてたような気がする」
「気がする?」
幼少期のことを思い出そうとすると、ところどころ記憶に靄がかかってしまうのは変わらずだ。
「私、ワッターとも施設で会ったことある?」
「いとこって紹介してもらったと思う」
「そういや前言ってたな、記憶が欠落してるところがあるって」
「うん……。『幸せの街』の施設に行ったって記憶はあるんだけど、具体的なことがいまいちはっきりしなくて……」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時