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なんて思いながらローストビーフをパクリ。
ワッターの料理は相変わらず天才的。
(他人の恋路の心配？)
隣の俊くんから声が聞こえる。
本当に自由自在に入ってくる。
(心配というか、千ちゃんが好きな人と結ばれたら良いよなって思ってる)
俊くんの目線は千ちゃんと伊坂さんの方へ向く。
(……まだ道のりは長いのかなあ)
(俊くんの力は万能ですね)
(そんなことないよ)
結局私の聞こえる声の条件はよく分からないままだけど、やっぱり感情なのかな。
だけど一番気持ちが知りたい人の感情が分からないしなと思いながら俊くんの顔を見る。
(そんなことあるでしょ)
(俺は自分の知りたいことを読み取れるってだけで全部は分からないもん)
(それでも凄いと思うけどなあ)
「顔を見合わせるだけで実は心の中で会話してるって改めて見たらなかなかだな」
前にいるみっくんが言葉で入ってきた。
「傍から見たらそうだよね。でも私たちは物心着いた頃からこれが普通だからなあ」
「小さいときは二人でこそこそ話すなって怒られてた」
「顔には出てたもんね」
心の声で会話するのも良いけれどこうして会話すれば俊くんの笑顔が見られるからまた良いんだよね。
みっくんありがとう。
(とっとと付き合えばいいのに。このいとこたち)
みっくんのそんな声が聞こえたけど、そんなおいそれとはいかないんだよと思いながらウイスキーを飲む横顔を眺めたら視線を向けられた。
「どうしたの？」
優しい声で訊かれるから。
「何でもない」
ドギマギした気持ちを隠すため私もビールを飲む。
本当は他人の恋路を気にしてる場合じゃないと思いながら―――。
to be continued
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年8月27日 10時
