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大丈夫、見えてる。
私にも手を出そうとするヤクザの大事な所を蹴り上げてやった。
「……Aって何かのチャンピオンだった?」
「全然。上には上がいた。私はまあ護身術が身に付けばいいかなと思って……!」
次はワッターを狙ってくる奴のみぞおちを蹴った。
「手は使わない?」
「怪我したくないしさ。人を殴るのってコツがいるんだよ。グーでもパーでもなくて人差し指から小指までの第1関節と第2関節を折って叩く!」
キッチンに入ろうとする男がいたので見本として顔を叩いた。
他の5人もヤクザ相手に強い。
刑事の2人は言わずもがな、みっくんもニカちゃんも千ちゃんも慣れている。
「ワッターも喧嘩できる?」
「皆ほどじゃないけど」
「じゃあ玉ちゃん以外は動けるね」
「あいつは裏で監視してくれてるから」
「ワッターの毒見初めて見た」
「嫌な技能だよ。……でもAも何か出されたら俺を使って」
「うん」
そんなやり取りをしてる間に皆がヤクザたちをやっつけた。
見事に伸びている。
でもレストランがぐちゃぐちゃだ。
「皆強いね」
「Aだってやるじゃない」
「いやいや私なんて」
「Aは敵に回したくないって間近で見てて思った」
「ワッターやめてよ」
「だよな、やるときの目マジだったもん」
「皆は優しいもん。そんなことしないでしょ」
(もうその笑顔が怖い)
(なんか普段は思わないけど宮田のいとこって感じだな)
(マジで敵に回したくない)
「ちょっと皆聞こえてるんだけど」
「そうよそうよ」
複数の心の声に俊くんと一緒に突っ込んだら笑いが起きた。
やっぱりこの人たちは最高。
『皆パトカー来るよ』
もちろん今ここにはいない玉ちゃん含めてね。
「やっと来たか」
「じゃあ刑事のお2人後はよろしく」
「随分派手にやっちゃったからなあ」
「まあ俺たちは辞められない立ち位置にいるから任せて」
「ワッターどうする?」
「帰って今日は寝る」
「その方がいいね」
「じゃあ帰るぞ」
刑事組を除いた私たちは裏口から立ち去る。
そのときキッチンが見える。
信根さんには後日また来ますと言われた。
武市は顔を青くさせていた。
まあとにかく一暴れはしちゃったけれども最悪な事態は免れたであろう。
私は静かになった『シュネル』を一瞬振り向いて見て店を出た。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時