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「そんなの友道に全ての責任を押し付けるために決まってるじゃん。自分は初めてこの事態を知りましたって顔して友道のことをこっちが知って友道フィナンシャルによって堀一家は行方不明になりましたって俺たちに判断させて友道を失脚させ、堀一家を手中に入れるためでしょ」
まくし立てるように言う。
そして鼻を吉田に近づけて、あんた嘘だらけだよねと挑発的に笑った。
「だけどここで誤算があった。友道が玲奈さんを気に入ってしまったこと。これをあなたは俺たちによって初めて知った。せっかく玲奈さんを思いのままに出来そうなのに友道がいたらそれが叶いそうにない。だからこういう状況。大人しく俺たちに従ってたらあんたは罪を重ねなくて済んだのにね」
千ちゃんは妖しく笑った。
それは相手をビビらすのに十分すぎる表情だった。
「どう?俺たちの推理。大体は合ってるでしょ」
「…………」
もう吉田はうな垂れていた。
友道の顔色は土気色だった。
もう私たちのショーは終わりでいいだろう。
「じゃあガヤさん、宮っちあとはよろしく」
「OK。ほら、行くよ」
俊くんとガヤさんは吉田を連行していく。
「そっちで友道はどうにかしといて」
「OK」
千ちゃんは友道にずかずかと近づいていく。
「堀さんのご両親はどちらですか?」
「知らねえよ」
千ちゃんは吉田の時みたいに鼻を近づける。
「大噓つき。本当は知ってるんだろ」
「…………」
私は友道の顔を見る。
脳内に声が響く。
「千ちゃん私分かったよ」
「俺も見えた」
「じゃあ行くか。お前らの力と玉のリサーチで十分だろ。堀さん、ご両親の所へ行きましょう」
「……はい」
「伊坂さんももう少しお付き合い下さい」
「はい」
私たちは友道を置いていって堀さんのご両親がいるところへ向かった。
場所は友道フィナンシャルの持ってるビルで、そこにはフィナンシャルの社員がいたから私たちは気絶させて堀さんのご両親を無事助け出すことが出来た。
これにて一件落着。
今回もなかなか大変だったけど、堀さん一家が抱き合う姿を見ていた千ちゃんの表情があまりにも優しかったから解決できて本当に良かったと心底思った。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時