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(さすがAさん)
俊くんがこちらを見て微笑んだ。
ドキッとしちゃう。
ごまかすように私は咳払いをした。
「ごめん千ちゃん続けて」
「さすがA。……次に友道フィナンシャルと吉田さんの関係をご説明します。お二人はご親戚関係なんですよね。吉田さんの口座を警察が調べたところ、友道フィナンシャルから多額の金が振り込まれていました。これについてはどうご説明するんですか？」
千ちゃんが等分に二人を見れば二人は分かりやすく顔色が悪くなる。
(だから足のつく口座振り込みは止めようって言ったのに)
吉田の声が聞こえた。
なるほど、負け確定だと人間ボロが出てくるということか。
「あと伊坂さんにご協力いただきまして、あなたの仕事ぶりを調べました。急ぎの調査だったので不確かなところもありますが、あなたの営業先の一部が倒産や事業縮小に至ってます。この不景気ですから致し方ないのかもしれませんが……。そこはいずれも友道フィナンシャルに金を借りてることも分かってます。どう説明してくれますか？」
実は今日伊坂さんが調べてくれたことだ。
本当に彼女には感謝してもしきれない。
「伊坂、お前裏切ったな！」
こう吉田が吠えても伊坂さんは動揺しなかった。
彼女も吉田を真っ直ぐ見下ろす。
「もうあなたに指図される筋合いはない。このこと部長に報告済みだから、あなたの席はないわよ。というかもう捕まっちゃってるからこの時点でなくなってるか」
一回度胸を手に入れた女は強いと思ってる。
今伊坂さんはとても輝いてる。
「あなたのことは許さない。何人もの人の心を踏みにじってるんだから。これから敏腕な刑事さんに絞られて、厳しい裁きを受けて下さい。お疲れ様でした」
最後には綺麗な笑顔。
立場が一転したんだから吉田は大層居心地が悪いだろう。
「伊坂さんもさすが。……あなたは堀さんの会社をさらに陥れるために友道フィナンシャルに借金するように勧めた。借金はあっという間に利子が膨らんで社長は従業員を手放した。そりゃ会社はひっそりとしますね」
「……俺があんたたちにわざわざ依頼したのは分かってるの？」
この期に及んで悪あがき？
それに対して千ちゃんは珍しく鼻で笑った。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年8月27日 10時
