* ページ26
・
「えっ銃?」
隣の伊坂さんは戸惑う。
それはそう。
「すみません、伊坂さん。こんな場面に立ち会わせてしまって」
「矢作さんは慣れてますね」
「探偵事務所に来て修羅場は何度か。でも銃は初めてです」
ゆっくりと敷地を進む。
工場の扉は閉じられている。
ガヤさんは耳を澄ましている。
「Aと伊坂さんは本当に危ないから下がってて」
「さすがに私も銃は抵抗できないから分かった」
「……あいつが構えた。行くぞ、俊!」
「OK、ガヤさん」
「俺らは開けるぞ」
みっくんニカちゃん千ちゃんが扉を開ける。
私と伊坂さんはその陰に潜む。
俊くんとガヤさんが突入した。
「警察だ!銃を離せ!」
さながら刑事ドラマのような風景に錯覚しそうになるけどこれは現実だと思い直す。
「警察だ!?どういうことだよ」
これが吉田の本性か。
私は中をほんの少し覗き見る。
吉田は堀さんを片手で抱いていた。
友道はというと腰が抜けたように座っていた。
「この人たちは俺の協力者なんですよ」
みっくんニカちゃん千ちゃんが少しだけ前に出た。
「貴様たちは探偵と何でも屋。さては俺を嵌めたな」
「意味分からん。勝手に暴走したのはお前だろ。なっ千賀」
「そうそう。大人しく俺たちに任せてればこんな大がかりなことしなくて済んだのに」
ニカちゃん千ちゃんは強気に言う。
「これ以上近づくなよ。この女とこいつがどうなってもいいのか」
吉田はガヤさんの言う通り銃を持っている。
素人が簡単に撃てると思えないんだが。
(そうだよ、A)
俊くんは僅かにこっちを見た。
(こいつは素人。本当は撃つ気なんてさらさらない)
(でもどうすんの。このまま睨み合い?)
(まあ俺とガヤさんに任せて)
私の見えるところで俊くんの口角が綺麗に上がった。
「それでどうするつもり?」
ガヤさんが意地悪そうに言った。
「ずぶの素人が撃てるの?」
俊くんも見事に煽る。
「うるせえ!」
「皆隠れて!」
吉田は本当に引き金を引いた。
銃弾は扉に当たった。
その隙に俊くんも撃った。
弾は吉田の銃に当たり、銃が飛んだ。
「ナイス、俊」
「皆チャンスだよ」
俊くんの号令で皆一気に飛び出す。
そしてあっという間に吉田をとっ捕まえた。
「とりあえず銃刀法違反ね」
ガヤさんが吉田に手錠をかけた。
・
35人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時