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吉田さんは頭を下げた。
そして今回の報酬を払われて帰っていった。
「伊坂さんどう思われました?」
「……相変わらず人当たりは良さそうでしたね」
伊坂さんは皮肉めいた口調で言った。
というわけで問題は次である。
伊坂さんがいるけれどしょうがない。
「ニカ、何か見えた?」
みっくんもそのような方針のようだ。
「かすかにね」
「Aは?」
「最後の最後にやっと聞こえたよ」
「千賀は?」
「……窓開けるね。匂いすぎて鼻がおかしくなりそう」
そう言って千ちゃんは店の窓を開ける。
「えっと……」
伊坂さんが戸惑うのは無理なかった。
「ごめんなさいね、伊坂さん。俺たち他人とは違う尖った感覚がありまして」
「それは昨日千賀せんと矢作さんも言ってましたが……」
こういうパターンに遭遇するのは人生で何度目だろうか。
大久保さんはスルーというか受け流された感じだったけど、黒幕や犯人たち、過去に出会った人には怖がられたり気味悪がられたりしたな。
「具体的な言及は避けるんで、まあ察して下さい。それでどう思うかは伊坂さんに委ねます」
みっくんの言う通り伊坂さんの感覚に任せるしかない。
それで否定的に見られたらしょうがないと思うしかない。
「えっと……二階堂さんは目?矢作さんは心の声?千賀さんは嗅覚?」
伊坂さんはやはり聡明だ。
「正解です」
「でもだからといって。皆さんが私を信じて下さったから、私も皆さんを信じるだけです」
こういう人がもっと増えればいいのにね。
こういう人がいないから『幸せの街』のような組織ができたんだろうけど。
「伊坂さんありがとうございます。でさ、みっくん……」
私は吉田さんから聞こえたことを告げる。
「よし、じゃあ作戦Bだ。A、刑事組と玉に連絡しといて。あと横尾さんにはこれで美味い飯を用意してもらおう」
みっくんは先ほど支払われた万札を手に取った。
「了解です」
一気にこの事件の片を付けられるというワクワク感を持ちながら私はスマホを手に取った。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時