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みっくんとヤクザがそんな会話を交わしているとき、私は目の端にその人物を捕らえた。
その人物がこそこそと逃げ出そうとするから。
「こんなときにどこ行かれるんですか?」
そいつが少し止まった隙に一気に近づく。
「フロアマネージャーの坂東賢さん?」
「クソッ」
そして坂東が私なんかに手を上げようとするから。
「足元ががら空きなんだよ」
弁慶の泣き所を蹴ってあげました。
ここはどんな人でも痛がるからね。
坂東はバランスを崩した。
そしていつの間にか近づいていた俊くんが彼を捕まえる。
「ひとまずは暴行罪ね」
「は?警察?」
「そうです。私こういう者で」
俊くんは警察手帳を出した。
そして坂東に手錠をかけた。
突然の警察の登場にあちらサイドもさすがに驚いている。
またその隙にワッターとガヤさんがさっきまで客のヤクザが座っていたテーブルに近づく。
「ついでに言うと俺も警察です。渉、このグラス調べて」
「分かった」
そう言ってワッターはビールの入ったグラスを持ち、中身を口に含み、予め持っていた空のグラスに吐き出した。
「これ遅効性の毒が入ってるわ。鑑定してもらって」
「了解」
ガヤさんは慣れた手つきでグラスをビニール袋に入れた。
「何で俺のグラスに」
そう言ってヤクザの一人は口を押さえた。
もう遅い。
「さっさと飲めば良かったのに」
坂東は低く呟いた。
「お前どういうことだよ」
ヤクザが迫ろうとするところをワッターが間に入る。
「お前どけよ」
「どきません。……坂東さんはとにかく『シュネル』の、武市さんを貶めたくてあなた方を利用したに過ぎません。あなた方もまた捨て駒だったんです」
「ざけんじゃねえ!」
理不尽にもワッターが殴られた。
ひどいので即時にガヤさんが捕まえた。
「現行犯逮捕!俊、マル暴の人たち来ねえの」
「さっき電話してから時間はまあ経ってるけどねえ」
あのときマジで電話してたんだ。
さすが俊くん。
「こうなったらサツが来るまで暴れるぞ!」
なんとヤクザが『シュネル』を暴れまわる展開になっちゃった。
「結局こうなるのかよ。いくぞお前ら!」
「おう!」
みっくんの号令で5人は戦闘態勢になる。
私は即ワッターに近づく。
「ワッター平気?」
「口切れて、血の味がする」
「それは最悪。一旦端にいっとこうか」
「……A!」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時