* ページ19
・
あれから皆調査へ向けて走り出している。
私が伊坂さんの連絡待ちの間、皆のおかげで色々分かってきた。
私はまだ何もしてないけどワッターのご飯はとても美味しかった。
伊坂さんから連絡をもらったのはあれから3日後だった。
むしろ普段の仕事もあるのによくぞ3日で感心してしまった。
場所は前と同じく喫茶店。
ワッターはまた紅茶を出してくれる。
「前回も思ったんですけど紅茶美味しいですね」
「そうなんですよ。うちのマスターのこだわりが詰まっています」
「うちの?」
「ああ、伊坂さんには説明してませんでしたね。この奥が探偵事務所になってて喫茶店のマスターである横尾が窓口になってるんです。私は助手の仕事がないときはここの店員をやってるんです」
「なるほど。あのとき何でも屋さんにいたのは?」
「あのときはたまたま二階堂と千賀に頼まれて雑務をしてて、そしたら伊坂さんと吉田さんが来たという感じです」
「そういう経緯だったんですね」
軽く世間話をした後、伊坂さんはバッグから大きいクリップで留められた資料を出してきた。
「これが堀さんの会社のデータです。コピーで良かったら。本当は良くないことなんですけど……」
「それはよく分かってます」
私も一流企業で働いていたから分かっているつもり。
企業には機密情報が山ほどあって、それもうっかり漏らして企業に不利益を与えることの重罪さは半端ない。
でもこれは捜査で重要なことなんだと言い聞かせる。
「伊坂さんのお仕事に影響が出ないようにしますので。これは皆に見せます」
「それと……吉田のこと嗅ぎまわってみたんです。この3日間彼はずっと外回りをしてるんで」
「新規のところに行ったり取引先に行ってるんですか?」
「だと思います」
これは玉ちゃんに調べてもらおうと心の中でメモをする。
「それで吉田と堀さん本当は付き合ってない疑惑が浮上したんです」
「えっ?」
それはまた全ては覆りそうな疑惑だ。
・
35人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時