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「なので吉田さんのこと教えていただけませんか?」
「……分かりました。吉田は私の同期で2年目あたりからコンビを組んで彼をサポートしてました」
みっくんが吉田さんに書かせた書類にはリース会社勤務と書いてあった。
同僚と一緒に来たのだからそこに嘘はない。
「普段の吉田さんはどのような感じですか?」
「お会いしたときと変わらないと思いますよ。物腰が柔らかく丁寧な仕事をしてますね」
「営業向きではありますね。……堀さんのことはご存じでしたか?」
「はい。部署では有名でしたよ。取引先のお嬢さんと付き合い出したって。吉田も照れくさそうに写真を出して話してましたね」
「期間は分かりますか?」
「ここ1,2年ではないでしょうか」
「…………」
何かが引っかかる。
勘としか言いようがないんだけど。
ここは一歩踏み出してみるか。
間違ってたら謝ればいい。
「あの、伊坂さん」
「はい」
「伊坂さんの方面から今回の件を調べていただくことは可能でしょうか?なるべく吉田さんには内密で……」
うちには玉ちゃんがいるから会社のことは調べられる。
だけど会社の人の中身まではこちらは深く入らないと分からない。
となると仲に協力者がいてくれると助かるのだ。
「分かりました。出来る限りやってみます」
「いいんですか」
「客観的事実は大切ですもんね」
彼女は聡明な人でとても安心した。
さすが千ちゃんの気になる女性。
というわけで内部のことは彼女に探ってもらうことにした。
みっくんには事後報告だ。
伊坂さんが帰った後ワッターがそっと現れた。
「いいの?Aの独断で動いてない?」
「でも協力者はいた方がいいでしょ」
「まあいないよりは。……ミツたちもそろそろ帰ってくるって。晩ご飯の催促もらっちゃったよ。Aも食べるでしょ」
「うん」
「それと刑事組も来るってさ。ディナーミーティングだな」
「私手伝うよ」
「ありがとう」
ワッターの手伝いをしてるうちにみっくんニカちゃん千ちゃんが帰ってきた。
軽くワイワイしてたら玉ちゃんもフラリと出てきた。
「A、お腹すいた」
「玉ちゃんお疲れ様。ずっと調べてたの?」
「うん。それに株も見てたしネットの仕事もしてた」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時