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ついに事が起こり始めるのか。
私はとある人物の姿が見えたので注視した。
しばらくはこの空間は和やかな食事風景が広がっているように見えた。
ヤクザ連中も普通に食事をしている。
これは何か探れないかな?と俊くんに問いかけてみる。
(俺が外で電話するフリして探ってみるよ。Aが変な目で見られるのは嫌だし)
(分かった)
俊くんは私に断りを入れて立ち上がり、スマホを耳に当てながらそのテーブルの横を通った。
数分後戻ってきた。
(で、どうだった?)
(ちょっと皆のグループラインに投げるわ)
そうして送られてきた文面を見て我々は驚いた。
ここには少なくとも3つの思惑が渦巻いている。
『皆飲み物には気を付けて』
ワッターからはこんなメッセージ。
私は思わずノンアルコールビールのグラスを見つめる。
でも他のお客さんは普通にしているから犯人の狙いは……。
『ねえ、めっちゃヤクザがこっちの方に向かってくるんだけど!?』
玉ちゃんからのメッセージに俊くんとアイコンタクトを交わす。
『チッ、そういうことかよ。ニカと千賀も来い』
みっくんの指令に背筋が伸びる。
(俊くん、さすがにヤクザと戦ったことないんだけど)
(あったら困るよ。大丈夫、絶対隙がある奴はいるから。女だからできるはずがないと高を括ってる人は絶対いるから。そこを狙っていけ)
俊くんから強い眼差しをもらう。
いつも俊くんからはドキドキと勇気をもらう。
すると複数の足音が店に押し寄せてきた。
パッと見10人以上の堅気じゃなさそうな人たちが一気に店に入ってきた。
当然一般人は何事かと声を上げる。
「皆さんはお店の外に避難して下さい!」
「こちらからどうぞ!」
みっくんと信根さんの声掛けで一般のお客さんは裏口へと逃げていく。
彼女にもいくつかのパターンを話していたので対応してくれる。
「お前らは何なんだよ」
ヤクザの一人が私たちに向かって言った。
出入口を見ればニカちゃん千ちゃんも来ていた。
「俺たちはこの事態を予見してた者たちとでも言っておこうか」
こういうときのみっくんは小憎らしいぐらいかっこいいんだよな。
「俺たちは武市に用があるんだよ。邪魔者は引っ込んでろ」
「本当に武市だけ?」
「あ?」
「昨日お前と会ってた奴いるじゃん。武市以外に」
「証拠はあるのかよ」
「あるよ」
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年8月27日 10時