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「でもそうなると担当編集じゃなくなるよなあというのが悩みどころ」
「さすがに夫婦でってわけにはいかないか」
「今も内緒のつもりだからさ」
「横尾さんは?」
「そりゃ一緒に店をやってるんだからゆくゆくは……」
「渉顔赤いよ」
あとの4人はどうだろうなと考える。
ニカは楓さんと喫茶店をやってるから考えてそう。
千賀は同棲する予定だって言ってたな。
宮っちは玉はどうだろう。
でもあの2人も彼女に誠実な様子だから考えてはいるだろう。
「そういうミツは?」
「考えてはいる」
人生100年時代とか言われてるから、人生まだまだ道半ば。
その人生を一緒ずっと歩いていくとしたら、Aしか考えられない。
生まれた時から一緒にいるから何もかも知り尽くしているし、そりゃあたまには喧嘩もしちゃうけど、それは何でも言い合えるからこそで。
「考えてはいるってだけでも大きな進歩だよね」
「は?」
「だってね、付き合うまでのことを考えたら」
確かにその節は……なんだよね。
「ここは一発かましてみたら?」
「は?」
藤ヶ谷何言ってんの?
「財津さんがこの先のことをどう考えてるかも知りたくない?」
横尾さんまで何言ってるのさ。
「ちょっと待て。確かに考えてはいるとは言ったけど」
言ったけど……と言ったところで俺の思考は回り始める。
付き合うようになったのは半年ほど前だけど、生まれた時から知ってるし……とか、俺にはこういう意思があるよと指し示すのは別に悪いことじゃないよな……とか。
「まあ、でもマジで頑張ってみる価値はあると思う」
「そうそう、頑張れ」
「俺が頑張ったら、お前らも頑張れよ」
「……だね」
「考える」
二人にそそのかされただけのような気もするが、俺はいっちょかましてみるかと気合を入れる。
手始めに下調べのためスマホを取り出した。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年7月26日 17時