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報告書をまとめ上げたので由美さんにご連絡をした。
彼女はすぐ来てくれた。
「これがご依頼の調査の報告書です」
「はい……」
由美さんは十数ページに及ぶ物をじっくりと呼んで、読み終わった後息を吐いた。
由美さんからは悲しみの感情が伝わってくる。
「どう、されますか?」
「……離婚します」
みっくんの尋ねに由美さんは力強く答えた。
「もうあの人とは一緒にいられません。調べていただいたものを持って弁護士さんに相談します」
「そうですか。森村さんのご決断が良い方向に向かうよう祈ってます」
「無理せず頑張って下さい」
「はい、ありがとうございました。これ、今回の依頼料です」
由美さんは依頼料を支払われて帰られた。
その足取りは軽やかだった。
ちなみに由美さんのことも調査しましてシロだということは分かってます。
「これにて一件落着ということで。今晩は空いてる奴ら誘って美味い飯食おうぜ」
「うん」
私は机の上を軽く片付ける。
あとで今回の調査をまとめないとと思いつつ。
「みっくんは何で人は不倫をすると思います?」
「俺が今まで見てきた中で思うのは、結婚しての安定を求めずにスリルを求めちゃう人が多いよな」
「だったら結婚しなきゃいいのに。代償は大きいんだから」
「誰だって結婚するときは相手のことをちゃんと想ってるよ。だけど生活していくうちにこんなはずじゃなかったとかって思い始める。そんなときにお誘いがあれば誘われてしまうのが人間」
「愛がないね」
「まあな。いつだって恋がしたいからそうなっちゃうんだろうね」
「じゃあ匂わせは?めぐみんSNSで結構匂わせてたけど」
「それはもう完全に満たされてないからだな」
みっくんはきっぱり言った。
「めぐみんの場合は早く陽一さんを自分だけのものにしたかったんだろうしね。だとしたら欲しいのは?」
「羨望の眼差し」
「それって人によっては何事にも代え難いからな」
「私たちからしたら考え難いね。基本目立ちたくないし」
「俺はガキの頃それが嫌すぎたわ」
私たちは出方によっては目立ってしまうからね。
こんな能力、望んじゃいなかったんだから。
でもその一方で浮かれちゃう人もいる。
ホント人間って色々。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年7月26日 17時