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ちなみにここに住んでいるのはみっくん、ワッター、玉ちゃん。
この建物は2階建てで1階は喫茶店と探偵事務所と玉ちゃんの部屋、2階はLDKとみっくんとワッターの部屋がそれぞれ。
何度か上がらせてもらったけどリビングスペースはとても広かった。
2人を見送った後は午前中の営業に勤めていた私。
休憩時間はワッターの料理を食べることが多い。
今日はミートドリアを美味しく食べていたら。
「ワッター、A」
ニカちゃん千ちゃんがやって来た。
「ワッター家事代行のご依頼が」
「どういう方?」
ニカちゃんが色々説明する。
なるほど、そこも業務提携があるのか。
千ちゃんはニコニコと私に近づいてきた。
「美味しそう」
「食べる?」
私はテーブルに置いてあったスプーンを渡した。
「お言葉に甘えて……美味い」
「ねっ美味しいよね。二人はこれから仕事?」
「そうそう。この近所で仕事依頼されて。他の皆に頼みたいことがあったから寄った。俺玉に頼みたいことがあったんだった」
「玉ちゃんいないよ。そろそろ帰ってくるとは思うけど」
「珍しいお出かけか。じゃあ電話でするか」
「千賀行くぞ」
「はーい。じゃあね、A」
「うん。バイバイ」
あっという間にニカちゃん千ちゃんはいなくなった。
休憩を終え、午後の営業に入る。
午後3時過ぎぐらい、とある女性が暗い顔をして入店してきた。
この女性は週に一度は来る方だ。
名前は確か島崎さん。
「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ」
「はい……」
島崎さんはテーブル席へ向かった。
メニューを開くと溜め息をついた。
(この後が辛い……せめてマスターの飲み物を……)
接客の仕事をしているとこの能力が本当に使える。
私はワッターに耳打ちをする。
「あのお客さん何か辛そうなんだけど」
「分かった。何かAが選んでつけといて」
「了解です」
「……すみません」
「はい」
私は彼女の注文を取る。
カフェラテをご注文された。
多分格好から見るに何かの営業をされている。
それでこの後営業か商談かプレゼンかなんかを予定している。
それまでのひとときをここで過ごそうとしている。
これから行くところはきっと彼女にとってプレッシャーなのだろうと推測する。
「A、11番テーブルに」
「ワッター、マカロンいい?」
「どうぞどうぞ」
私は彼女に持っていく。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年7月26日 17時