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「健永、偶然だね」
「うん。……あっこちらは先輩の藤ヶ谷さんと宮田さん」
「初めまして」
「こんばんは」
「こちらは俺の幼馴染で……」
「進藤Aと申します。千賀がいつもお世話になってます」
「いえいえ、こちらこそ」
「じゃあね、健永」
「うん。また」
Aは男性の所へ戻っていった。
それを目で追って顔を先輩たちの方へ戻したら。
「なるほどね、千ちゃん」
「俺分かっちゃった」
先輩たちにバレてしまった。
まあ話の流れ的にバレるよね。
「幼馴染かあ」
「じゃあわりと長く熟成されてるねえ」
「うん……」
そりゃ気持ちを紛らわせるために他の子と付き合ってみたりもしたけど結局好きなのはAで。
でもずっと言えなくて。
このままではこじれる一方だと思うのに、向こうがどう思ってるか分からないから怖くて。
「千ちゃん、一回勇気を出してみよう」
「やっぱり一回言葉にしなきゃ伝わらないし」
「二人は脈ありだから言ったんでしょ」
「そんなことない。俺は遠回りに言ったら、逆に率直に告白された」
「俺は何回も嘘だって否定されたからね。やっと信じてもらえたって感じで」
人間は本当に色々で、両想いのなり方も色々あるのは当然で。
何かを変えるには動き出さなきゃいけないのは当たり前のことで。
俺はどうなりたいのか?と自問自答をする。
もちろん理想はある。
でももしその理想が叶えられなかったとしても、この年季の入った片想いにケリをつける必要はあるだろう。
「……頑張ってみようかな」
こう呟けば2人は笑顔で頑張れと言ってくれた。
俺は背中を押されてやっと頑張れる気がした。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年7月26日 17時