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「そんなに長くいて?」
「ここは太輔が勇気を出して」
「ガヤさんって意外と奥手なんだね」
などなど結構勝手なことを言われた気がする。
その同僚たちは最近勇気を出して恋を進展させている模様。
俺も勇気を出さないといけないのかなと思いながら大将の料理を口に運ぶ。
「太ちゃん何か悩み?」
顔を上げれば大将の快活な笑みがあった。
「浮かない顔してるぞ」
「個人的なことだから平気」
「水臭いなあ。そういや太ちゃんいつもここに来るときは一人だな」
「連れていきたい人6人いるんだけど、大人数引き連れちゃ迷惑でしょ」
「たまには連れてきてよ」
「そうします」
「そんなにいるんですね」
こう言ったのは和田さん。
和田さんもいつも一人だよなと思ったりする。
「今の会社の同僚たちで入社時期はバラバラなんですけど、馬が合って切磋琢磨し合ってます」
「良いですね。私も仲の良い同僚はいますけど、そこまでは。大将や藤ヶ谷さんのような常連さんがいれば十分です」
なんて殺し文句と思ったけど、のようなだぞ自分と戒める。
「嬉しいこと言ってくれるねえ。別に友達じゃなくてもいいのよ」
「恋人?いないよ」
「私だっていませんよ」
おっ和田さんいないんだと浮足立つ。
「じゃあ好きな人は?」
「それはいますけど……」
隣の和田さんを見ずに答える。
「大将、私は構いませんけどその質問セクハラになりかねませんよ?」
「これは失礼。俺の子供世代だからついね」
そんなやり取りをした後、食べ終えた俺は先に店を出た。
来週もゆとりがなさそうだから来週も一日だけしか来られないなあと思いながら。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年7月26日 17時