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これは太輔くんと私にも言えることでずっと一緒にいるために約束は必要不可欠だった。
我慢の多かった高校生活だったけど、高2で出会った美月たちのおかげで青春は過ごせたし、今では自由に過ごしてるから今の所私の人生は悔いなく進んでいる。
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俺たちは昔話に花を咲かしていた。
最初はカフェで話してたけど話し足りなくて今はショッピングモールのベンチに座って話してる。
3人の話を聞いてたらそれぞれが濃い3年間を過ごしていて、その一端でも俺が関われたことがすごく嬉しい。
みたいなことを言ったら美月ちゃんに一端じゃなくて大部分ですと叱られた。
まあ美月ちゃんに関してはそう言ってもいいかもしれない。
「そういえばさ、美月と宮っちっていつ急接近したの?」
「えっ?」
「だって美月、1学期の頃なんて塩対応だったじゃん」
「途中からはむしろ毛嫌いしてるぐらいの感じだったのに」
「それは……」
美月ちゃんはチラリと俺を見る。
美月ちゃんは自分の黒歴史を言いたくなさそうだから俺も言わない。
あの夏の日の夜は二人だけの秘密だ。
「進路相談の頃じゃないかな。ここぞとばかりに美月ちゃんのテリトリーに突っ込んで」
「次第にこの人なら信頼してもいいかもってなった」
まあ実際に美月ちゃんの心が開いていったのはその頃だもんな。
でも最初の頃の嫌そうな感じも嫌いじゃなかった。
好きだと気付いたのは告白された後だったけどその頃から俺は傾いていったんだろうなと考える。
美月ちゃんもそうかなと俺は思っているんだけど。
「あれ、俊くんもいる」
そんなこんなで時間も暮れて、休日出勤を終えたガヤさんが大沢さんと迎えに来た。
「うん。女子3人に誘われて来ちゃった」
「うらやま。今度俺も混ぜて。じゃあ帰ろうか、文乃」
「うん」
「泊まっていくでしょ」
「うん」
「じゃあ皆またね。俊くんは月曜日」
「うん」
「バイバイ」
帰っていく二人を見送る。
二人の姿が見えなくなると長浜さんが少し悶えた。
「文乃って普段から可愛いけど、ガヤ先生相手だともっと可愛くなるよね」
「本当に藤ヶ谷先生のこと好きなんだろうね」
「普段聞かない声のトーンのガヤさんだった。大沢さんのこと可愛がってるなって思う」
高校時代は我慢が多くて時々大沢さんは愚痴をこぼしてたけど、今は思う存分羽を伸ばしてて幸せそうで何よりだ。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年7月26日 17時