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すると約束はあったけど太輔くんは応じてくれた。
でもその約束は私たちにとって大事なものだから守るべきだと思っていた。
太輔くんが宮っちたちに私たちのことを話していたのは知っていた。
だけど宮っちが担任になってしばらくは宮っち自身触れることはなかった。
それは本当にありがたかった。
初めてそのことを話したのは進路相談の時だった。
「大沢さんガヤさんと付き合ってるんだよね」
「……はい」
「安心して。俺たちは絶対バラさないから」
「どうして?」
「バラすメリットがどこにもないから。ガヤさんが俺たちを信頼して秘密を明かしてくれたんだから俺たちだって秘密を共有する」
「そっか。ありがとうございます」
「どういたしまして。あっでもどうしてもガヤさんに言いにくいことがあったら話は聞くよ。誰にも知られちゃいけない恋愛って息が詰まることだってあるはずだから」
「ありがとう」
宮っちは優男だとつくづく思った。
優しいだけじゃなくて口が固いのもポイントが高い。
多分勘違いしちゃう子もいるんじゃないかなと思った。
だから美月は最初勘違いしちゃったのかなと思った。
だけど宮っちを見ていたら勘違いじゃないなと思い始めた。
宮っちは生徒全般に優しいけど、美月には一段と優しい気がした。
太輔くんとはよく美月と宮っちについて話したっけ。
二人で勝手にヤキモキしてた。
宮っちの言う通り誰にも知られちゃいけない恋愛は息が詰まる。
美月とかんなには先に告げたけど、だからといって大っぴらに恋バナは出来ない。
だからどうしようもできないときは宮っちに話した。
宮っちはただ聞いてくれた。
「そういえばさ宮っちは反対しないんだね」
後にキタヤンにも訊いたことを宮っち自身にも訊いたことがあった。
「ガヤさんって真面目じゃん」
「うん」
「そのガヤさんがモラルやルールを取っ払って大沢さんと一緒にいることを選んだんでしょ?そりゃ無条件に応援しますよ」
そういう宮っちはそれらを取っ払って美月と一緒にならないの?と言いたかったけど言わなかった。
今思えばそれらが宮っちにとって大事なんだと分かる。
ただでさえ元教師と生徒の恋愛はリスクがあるし、太輔くんはたまに私との年齢差を嘆いているので宮っちもそうだろう。
ずっと一緒にいるためにもリスクは減らすに限る。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年7月26日 17時