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私の初恋は太輔くんだった。
太輔くんとは家がお隣同士で沢山可愛がってもあって、次第に好きになっていった。
「それって刷り込みじゃないの？」
中学生の時の他愛のない恋バナ。
その頃には太輔くんと会えなくなっていたけど私まだ太輔くんのことが好きで幼馴染のお兄ちゃんが好きなんだと言うと、友達にそう言われた。
「刷り込み？」
「聞いたことない？小鳥が一番最初に見た物を母親だと思っちゃうって」
彼女は友達の中で物知りだった。
「幼馴染のお兄ちゃんがかっこ良くて優しかったら好きだって思っちゃうよね」
私は彼女の言葉を真に受けてしまい、この気持ちって恋愛感情じゃないの？と戸惑った。
太輔くんは高校の先生になったと母が教えてくれた。
だけどどことは聞かなかった。
なんとなく訊くのは違う気がして。
時は流れ私は高校生になった。
本当は公立が志望だったけど、それが落ちたので私立に進んだ。
だけど私はそこで思いがけない再会を果たすんだ。
うちの高校では何人かの男性教師がかっこいいと入学当初から話題になっていた。
私は最初は興味がなかったけれど。
「うちらのクラスの英語の授業藤ヶ谷先生だって」
「えっあの？」
「うちらラッキーだね」
そんなクラスメイトの会話に耳が大きくなった。
藤ヶ谷という名字は珍しい、太輔くんには弟さんが2人いるけど、2人が教師になったとは聞いていない。
入学式の時に見たっけな？と思い出そうとするも入学式はやる気がなくて周りを見ていなかった。
だから教室に入ってくる太輔くんを見たとき心底驚いた。
太輔くんは事前に名簿を見て知ってはいただろうけど、本当に私がいるとはという顔をした。
授業の後クラスメイトたちは太輔くんにキャーキャー言ってた。
「藤ヶ谷先生かっこいいね」
「声も良いし」
「ファンクラブがあるんだって入ってみる？」
私は最初その様子を傍観してただけだったが次第に怖くなった。
見るに太輔くんはアイドル的存在だった。
そこに昔から知っている私が話しかけたらきっと反感を買うだろう。
大事な高校の3年間、それだけは避けたかった。
だから太輔くんには普通に接してと告げた。
それからはありきたりな教師と生徒の関係だった。
その一方で私の気持ちは増していった。
これは刷り込みじゃない。
太輔くんは私のずっと好きな人だって思った。
だからダメ元で告白した。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年7月26日 17時
