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学校に置いてあるピアノの一つをいつものように弾く。
北校舎と南校舎を繋ぐ渡り廊下にピアノの音が響く。
1曲を弾き終えて、ふと誰かの気配がして、健永かなと思い見たら宮っちだった。
「宮っちじゃん」
「邪魔しちゃった？」
「ううん。一曲終わったところだったし」
この時私は高2。
2学期に入り文化祭も終わり進路相談も終わった頃だった。
この頃の宮っちの印象？
怒ってるところを見たことがなくて優しすぎるイメージで、生徒のタメ口も平気そうで下に見ちゃってたかも。
「宮っちピアノできる？」
「昔独学で少しやってたぐらいで全然。音楽できる人ってかっこいいよね」
宮っちは素直な人だなと思った。
うちは音楽一家だからやって当然、出来て当然だから。
私は既に音大に行きたいと宮っちに告げてある。
ただ単純にピアノを弾くことが好きでそれを極めたいと言ったらその好きだって気持ちを大切にしてと言ってくれた。
好きだっていう気持ち……私は1音弾く。
現を抜かせないとは健永に言ってしまった。
だけどまだ迷いがあった。
「長浜さん？」
その迷いも宮っちだったら聞いてくれる気がした。
「宮っちって恋愛相談も受け付けてる？」
「俺、経験豊富じゃないけど、それでも良かったら」
確かに宮っちって長年付き合ってる彼女がいるイメージだと勝手ながらに思いつつ、思い浮かんだのは美月の顔。
「ちなみに現在彼女は？」
「いません」
じゃあ美月にもチャンスがあるなとまた勝手ながらに思う。
「で、ご相談内容というのは？」
「宮っちにも言った通り私は音大を目指したい。何だったらトップレベルの所に行きたい。でもそういうところは全国から猛者が集まるから真剣に目指さないとって思ってる。だから他のことに現は抜かせられないって思ってるんだけど……」
「だけど？」
「夢と恋愛って両立できる？」
2年のクラス分け。
元々友達が多くなくて、新しいクラスに話せる人がいなかった。
そんな中席が前後だったニカが話しかけてくれて、流れでタマを紹介してくれて、また流れで健永が現れ、美月と文乃と友達になった。
最初は普通に男友達。
男友達って概念があまりなかったから新鮮だった。
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年7月26日 17時
