Original Flower ページ11
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Original Flowerより
今日美月ちゃんは友人である長浜さんと大沢さんに会うという約束があり、俺は予定がなかったので家で仕事したり、読書したりしていた。
すると美月ちゃんから電話がきた。
「先生、今から来られますか?」
「どうした?」
「かんなと文乃が先生を呼べって」
「俺はすぐにでも行けるけど……いいの?20歳の女の子たちの中にアラサーの男が一人入って」
「私はもちろん良いですし、かんなと文乃が呼んでと言ってるので」
というわけで少し気が引けるけど女子の中に入ることにした。
彼女たちのいるカフェに行くと美月ちゃんが振り向いてくれたのですぐ分かった。
「宮っち久しぶり」
「お久しぶり。皆の旅行のお見送りをして以来か」
「そうそう。なんか宮っちの顔見たいねってなって美月に呼び出してもらっちゃった。ごめんね」
「気にしないで。家にいただけだし。それに長浜さんと大沢さんは美月のお友達であり、俺の元生徒でもあるわけだからいつでもウェルカムだよ」
自分の彼女を介してではあるけど、卒業後の自分の生徒に会えるのは嬉しいことだから。
「宮っちがなんか眩しい」
「美月の素敵な彼氏であると同時に良い先生だもんね」
「俺、良い先生だった?」
「何言ってんの」
「何言ってるんですか」
女子3人に同時に言われる。
美月ちゃんはここでも崩さず丁寧語だ。
「宮っちの進路相談ありがたかったんだから」
「他にも相談に乗ってくれて的確なアドバイスもらったし」
「またそうやって謙遜するんですから……」
「いや、だって……」
まだまだ自信を持って教師をできてるわけじゃないから、自分が良かれと思ってしたことがどのように生徒に響いてるかを知るのはまだ怖い。
そんな俺を尻目に女子たちは次の話題へ移った。
「皆それぞれに国語科準備室の思い出があるってわけだ」
「美月ほどじゃないけどね。私はピアノのある所でも話してたな」
「文乃、他にも相談って藤ヶ谷先生のこと?」
「うん」
「先生たちっていつから二人のこと知ってたんですか?」
「皆が2年生になる前の春休みに。なんかガヤさんが何か秘密を抱えてそうだからキタミツがガヤさんを焼肉に誘った」
そういえばあのときも焼肉で結構食べたなあと思い出す。
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年7月26日 17時