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「本当にここ？」
「ここなんだよ」
そう言って俊くんは入っていくから私も続いて入る。
「横尾さんただいま」
「おかえり。……その子が？」
「そうそう。俺のいとこの矢作A」
「……どうも」
私は横尾さんと呼ばれた人に会釈をした。
「ミツが首を長くして待ってるよ」
「だよね。Aこっち来て」
「はーい」
そのまま俊くんについていく。
横尾さんの前を通り過ぎるとき。
(彼女、ミツのお眼鏡に適うのかな)
そんな声が聞こえた。
俊くんがSTAFF ONLYと書かれた金属のドアを開ける。
その扉の向こうには漫画で見たことあるような探偵事務所のオフィスがあった。
私はソファに座ってる人と目が合った。
(ああ、あの彼女がね)
ここの人たちとは周波数が合うのかもしれない。
それが良いのか悪いのか。
「矢作Aと申します」
「北山宏光と言います。宮田から多少聞いてるかと思いますけど、ここグランシャリオ探偵事務所で探偵をやってます」
「はい」
「立ち話もなんですからお座り下さい」
「失礼します」
私は北山さんの向かいに座った。
俊くんが隣に座ってくれる。
「俺、宮田を始め協力者はいるんですけど、皆が本業で忙しいときが当然あって、そうなると単独行動になってしまう。だから常任の助手が欲しいなって思ってて」
「はい」
「うちはちょっと特殊でして、それはおいおい説明したり知ることになると思うんですけど。そう易々と人を雇うわけにはいかなくて。宮田のいとこである矢作さんならと思い宮田を通してスカウトしてみました」
もしかして私のことが多少知られてる？
そんな思いで俊くんの顔を見たら。
(まあそういうことかな)
そんな声が返ってきた。
これまでのことで疑問に思ってる方もいると思うから説明しますと、私は物心着いた頃から他人の心の声が聞こえてしまうんです。
これは私の母方の血がそうらしく、母方のいとこである俊くんも他人の心の声が聞けます。
ただ私と俊くんでは精度が違って俊くんの方が凄いです。
だからたまにこうして心の中で会話ができます。
この特殊能力、社会で生きる上では不便。
だって他人の聞くに堪えない声も聞こえてしまうときがあるから。
これが原因で前の仕事を辞めさせられたんだけれども、それはおいおい。
今はここで働くかどうかを考えないと。
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真衣 - はじめまして。いとこ同士って結婚出来ないと聞いた記憶があるのですが、出来るんでしょうか？ＰＳ昔（１９９６年頃）、少女漫画雑誌・りぼんでよく似た設定（探偵では無いですが。作者：池野恋先生 おしえて菜花）があったことを思い出しました。 (10月21日 19時) (
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作者名：ユタカ２ | 作成日時：2023年3月15日 15時
