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「……そっか、私は金子さんの話だけで判断していた」
「そうそう。物事は角度によって色々変わる。だから多角的に見てからじゃないと判断できない」
だとしたら話は変わってくる。
これらを金子さんが知らないことはあり得るのか。
いや、人間は自分が思う以上に多くのフィルターがかけて他人を見てしまう。
良くしてもらっていたら、ことさらその面しか見えないだろう。
となると犯人は……。
私なりに考えていたらみっくんのスマホがバイブした。
「ニカからだわ」
みっくんはスピーカーにした。
「もしもしミツ?」
「そっちはどうよ。何か集まった?」
「……大体ね。評判良くないよ、『鹿戸運送』。特に社長がね。女性社員やアルバイトさんが入っても辞めていくんだって。残っているのはここを辞めたら生活が困っちゃう人たちだって。そんな社長だから息子もどうしようもない奴なんだ……っていうのが近所の人たちの見解かな」
私は金子さんの顔が浮かんだ。
金子さんはシングルマザーだから……。
「OK。考えられる材料は揃ってきてる。ニカも千賀もありがとうな」
みっくんは電話を切って考え込むような顔。
私はただその様子を見ていた。
しばらくして俊くんとガヤさんが戻ってきた。
「関係者への取調は終わったかな。そっちはどう?」
「玉ニカ千から材料はもらった」
私はタブレットを俊くんに渡した。
ガヤさんにも見せる。
「こっちもまあ似たようなことを聞いた。重役クラスの人たちは苦言を呈していた。他の社員さんたちからもこれらと似たようなことも言っていた。逆にそういうことを言わなかったのは第一発見者の金子尚美、息子の鹿戸将一、社員の須貝真子、この3名のみ」
それもう答えが半ば見えてるのかもしれない。
俊くんとガヤさんの話す内容を聞きながらそう思ってしまう。
「二人の取調、玉ニカ千の情報……二人はAが金子さんから聞いた話知ってる?」
「俺がキャッチした。二人が女性トイレで話してたから」
「さすが藤ヶ谷の耳。……これらの話を合わせれば……あとたまに追加で調べてもらうか。最後の仕上げは宮っちだな」
「了解」
みっくんはまたスマホを手に取って玉ちゃんに電話していた。
事件の解決って思ったよりあっさりしているし、やるせないものなの?と心の中で呟けば。
(俺たちの仕事って結構地味よ)
そんな俊くんの声が返ってきた。
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真衣 - はじめまして。いとこ同士って結婚出来ないと聞いた記憶があるのですが、出来るんでしょうか?PS昔(1996年頃)、少女漫画雑誌・りぼんでよく似た設定(探偵では無いですが。作者:池野恋先生 おしえて菜花)があったことを思い出しました。 (10月21日 19時) (レス) @page50 id: 29eac809bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年3月15日 15時