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今日はアルバイトを入れてなくて暇を持て余していたら、私の3歳年上のいとこの宮田俊哉が突然やって来た。
「俊くん今日は非番?」
「うん。ちょっとAに話があって」
「えっ何々?どうぞ入って」
「お邪魔します」
私は俊くんを招き入れて、彼をクッションの上に座らせる。
「飲み物何がいい?といっても水とお茶と野菜ジュースしかないけど」
「じゃあお茶で。ありがとう」
せっかく俊くんが来てくれたんだから私は喜んでおもてなしをする。
グラスに入れた麦茶を出した。
私も向かいに座る。
「で、話って?」
「A、あれから仕事見つけた?」
「全然。日雇いのバイトでなんとかやってる」
私は3ヶ月前突然勤めていた会社を辞めさせられてフリーターになっていた。
「法外なお金もらったんでしょ」
「でも使う気になれない。あんな汚い金」
「そっか……」
俊くんは私の顔を見て何か考えてる。
私はどうにかその心の声を聞きたかったが、周波数は合わなかった。
「実はAに仕事を紹介したくて」
「どんなの?」
「俺の昔からの友達が探偵事務所をやってて。俺も刑事として、たまに協力してるんだけど。最近その友達が誰か一人雇いたいって言い始めて。Aの話をしたらスカウトしてって言われたんだけど、どうかな?」
「それは助手みたいなこと?」
「だね。北やん、俺はそう呼んでるんだけど、の足になるって考えて。俺も足になることあるから」
「へえ……」
再就職したいなと思っていた。
でも前職を辞めた理由が複雑なので応募してもお祈りメールが送られてきて、しょうがないから日雇いのバイトをする日々だった。
だからもしかしたらコネクションで働けるかもしれないと思うと途端に目の前が明るくなった。
そのコネクションが俊くんなのも嬉しかった。
渡りに船なんじゃないかと思えた。
「渡りに船?」
「もう、心読まないでよ」
「ごめんごめん。で、どう?」
「一回お会いしてみたいな。その北やんさんに」
「じゃあ行こうか」
私は俊くんに探偵事務所へ連れていってもらうことにした。
私の家から俊くんの車で約30分。
到着したところは想像とは違った。
「ここ?」
「ここ」
そこは閑静な住宅街の中にある住居兼喫茶店だった。
看板には「喫茶グランシャリオ」と書いてあった。
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真衣 - はじめまして。いとこ同士って結婚出来ないと聞いた記憶があるのですが、出来るんでしょうか?PS昔(1996年頃)、少女漫画雑誌・りぼんでよく似た設定(探偵では無いですが。作者:池野恋先生 おしえて菜花)があったことを思い出しました。 (10月21日 19時) (レス) @page50 id: 29eac809bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年3月15日 15時