プロローグ ページ1
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Side M
「北やん元気?」
「暇してる」
今日は非番なので探偵をやっている北山宏光の所を訪ねたら、彼は暇そうにソファに寝っ転がっていた。
ここは「グランシャリオ探偵事務所」。
探偵の北やんが中心となっていて、俺も刑事として協力している。
探偵稼業は楽じゃない。
月に数回ぐらいしか仕事がないときもある。
それでやっていけるのかって?
まあ仲間は俺の他にあと5人いますから。
「お前も暇そうだね」
「今日はガヤさんだけでいいぐらいはね」
「あいつらの情報も入ってこないしなあ」
なんて言ってた北やんは何か決意したようにいきなり起き上がった。
「こないださ、俺話してたじゃん?誰か雇ってもいいかって」
「言ってたね」
こないだ7人で集まってご飯を食べたとき、北やんはこう言った。
「横尾さんは喫茶店が順調だし、藤ヶ谷と宮っちは警察の仕事が重なるときあるし、玉も忙しいときがあるし、ニカと千賀も何でも屋の仕事もあるし、単独じゃしんどいときがあるんだよ」
だから誰か一人雇いたい。
それは皆賛成したけど、俺たちの特殊な事情や目的を考えると誰でもいいというわけにはいかなかった。
「宮っちさ、あそこ通ってるときにいつも女の子連れてたじゃん。えっと……矢作A」
北やんはさすがの記憶力だ。
俺も北やんからその話を聞いたとき、彼女の顔は浮かんだ。
なぜなら3ヶ月前彼女から仕事を解雇させられたという報告をもらったからだ。
ちなみに矢作Aというのは3歳下の俺のいとこ。
小さい時から可愛がってて、今でもよく連絡を取ってて仲良くしてる。
「確かにAだったらここで働ける素養はあるけど……」
彼女を巻き込ませたくないんだよなあという心の声は北やんだから聞こえないのは助かる。
「ダメ元でいいからスカウトしてみてよ」
「……分かった。声かけてみる」
一方で彼女が新しい風になってくれるかもしれないと俺は思うのだった。
善は急げということで俺はすぐにAの家に向かった。
アポなしだけど、いるのを確信して。
インターホンを鳴らすとAはすぐに出てくれた。
「俊くん」
「A、元気?」
「暇してる」
そう言う彼女の目を見たら。
(俊くんがいきなり来てくれた。嬉しい)
ウキウキしてる心の声が聞こえた。
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真衣 - はじめまして。いとこ同士って結婚出来ないと聞いた記憶があるのですが、出来るんでしょうか?PS昔(1996年頃)、少女漫画雑誌・りぼんでよく似た設定(探偵では無いですが。作者:池野恋先生 おしえて菜花)があったことを思い出しました。 (10月21日 19時) (レス) @page50 id: 29eac809bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年3月15日 15時