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みっくんは尾関さんのご家族と連絡を取って、尾関さんの事務所に行った。
私もそこに同行した。
尾関さんの事務所は紙資料でいっぱいだった。
みっくんは懐かしいと言いながら書類と向き合っている。
「みっくんと服部さんの他にお弟子さんはいるの?」
「あと兄弟子2人と弟弟子が1人いる」
「みっくんは何で探偵に?」
こう尋ねればみっくんの手は止まった。
「俺、記憶力が他の人と違うじゃん?小さい頃から神童とか言われて、同級生には苦労なくてずるいと言われて、やりにくいったらなかった。あの6人とはそういった生き辛さも共有してるから今も一緒に行動できるんだけどさ」
生き辛さは私も分かる。
他人の心の声が聞こえるって悪いことの方が多いから。
こないだの件が物語ってるでしょ?
「学生時代はとにかく目立ちたくなくて陰キャをやってたのよ。だってのに大学生の時、女からストーカーされてさ。そこで出会ったのが尾関さん。探偵って職業に初めて触れて、これなら俺の力を生かせるんじゃないかと思って師匠に弟子入りしたの」
「そうなんですね。独立したのは?」
「師匠に独り立ちしてみろって言われて。あいつらに相談したら協力するって言ってくれて」
「で、あのスタイルになったんですね」
「そうそう」
引き続きみっくんは嬉しそうな顔をしながら事務所の物を見てる。
それだけで尾関さんは良い方だったんだなと想像する。
その方が非業の死を遂げた。
深い悲しみに沈むのは当たり前だ。
「尾関さんはどのように……」
「そんなこと訊いてAは平気なの?」
「知りたい方が勝ってます」
みっくんは少し息を吐き。
「練炭だよ」
そこに繋がるワードは1つしかない。
「睡眠薬も検出されて自 殺と判断された。だけどさ、師匠はそのときとある事件を追ってたんだよ。どう考えてもその事件に関わってる奴が自 殺を偽装したに決まってるじゃん」
「その犯人巧妙なんですね」
「ああ。とんでもねえよ」
ということはみっくんは犯人を知っている。
欲しいのは殺したという証拠。
それが彼を突き動かしている。
それにしても一体誰が……。
「お疲れ、宏光」
そうした思考回路は服部さんの出現によって断たれた。
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真衣 - はじめまして。いとこ同士って結婚出来ないと聞いた記憶があるのですが、出来るんでしょうか?PS昔(1996年頃)、少女漫画雑誌・りぼんでよく似た設定(探偵では無いですが。作者:池野恋先生 おしえて菜花)があったことを思い出しました。 (10月21日 19時) (レス) @page50 id: 29eac809bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年3月15日 15時