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「A、お前どういうつもりだよ。今とんでもないことに、俺もネットに晒されて」
「自分たちだけ沈没する船から脱出しようなんて、そんなことさせない。一緒に泥船に沈め。私と再会したのが最大の失敗ね。そして私やこの人たちを見くびったわね。私を含め常人じゃないから」
再会したときから聖子からはこんな声が聞こえた。
―――適当にこの人たちには調べてもらって、おじさんたちを脅してガッポリもらって、私は康博さんと海外へ高飛び。素敵な考え。
私を追い出したことによって図に乗った聖子は今度は上層部を脅そうと考えてしまった。
にしてもそんな私から奪ってまで結婚したいほどの良い男かね、斉藤さん。
「面白半分で私がどんな面してるのか見たくて依頼したんだろうけど、そこが運の尽きね。残念でした。ご愁傷様。さっさと海外にでも宇宙にでも行けば良かったのに。あっ斉藤さんはそこまで聖子のこと好きじゃないのか。顔に書いてありますもんね、常務のコネがあるから付き合ってみたもののって」
わざとカラカラと笑ってみる。
彼は再会してからずっとそうだった。
むしろ私に気があった。
聖子は顔は一級品かもしれないけど、性格やテクニックは三級品ぐらいだもんね。
私の心の声が聞こえたのか俊くんは吹いてしまった。
みっくんは、は?って言った。
すると聖子は目の色を変えた。
「あんた、最低!」
聖子の振りかざした手が私の頬を叩く。
私は左口角を上げた。
「世の中手を出した奴が負けなんだよ。俊くんこれ暴行罪になる?」
「なる」
そう言いながら俊くんは警察手帳を出した。
「警察?」
「そうです。私、Aのいとこでこう見えて刑事をやってるんです。だから手荒なことをしたら公務執行妨害で引っ張れますよ?」
俊くんはニッコリと笑った。
今の状況でその笑顔は怖い。
これで聖子は大人しくなっただろう。
咳払いをして話を始める。
「まず、聖子は私のことが嫌いだった。まあ私誰かに媚びた生き方したことないもん。顔は確かに可愛いけどさ、中身が薄っぺらいもん、あんた」
聖子の心の声はなぜか周波数が合ったらしく、よく聞こえた。
ぶっちゃけ聞くに堪えないものが多いから嫌だったんだけど。
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真衣 - はじめまして。いとこ同士って結婚出来ないと聞いた記憶があるのですが、出来るんでしょうか?PS昔(1996年頃)、少女漫画雑誌・りぼんでよく似た設定(探偵では無いですが。作者:池野恋先生 おしえて菜花)があったことを思い出しました。 (10月21日 19時) (レス) @page50 id: 29eac809bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユタカ2 | 作成日時:2023年3月15日 15時