グランシャリオ探偵事務所へようこそ

＊ ページ28

・



「さっき会社の中で一番付き合いのあった子に電話したんだけど」



「うん」



「その子も調べてくれるとは言ってたけど、その子だって信用できるわけじゃないからさ。俊くん調べてもらえるかな、安田紗弥って子なんだけど」



「安田紗弥、ね。……Aは依頼人の2人どうするつもり？」



「……あの2人が悪いことをしてたら同じ泥船に沈めて欲しい」



俊くんなら私が読み取ったことを読み取ってくれるかな。



「了解。これは俺個人の思いだけど、あの2人だってAを傷つけたんだからそれ相当の報いを受けるべきだって思ってるよ。ガヤさんと一緒に調べるね」



俊くんがいなくなって、また私は一人になる。
私は玉ちゃんが取り寄せた資料を見る。



常務のペーパーカンパニーの登記簿。
そこに書いてある田中という名字。
田中というの名字は珍しくないけど、多分聖子の父親の名前。
専務のを見れば斉藤の文字あり。
あの人は専務の秘書だった。
多分これは彼の親。



でもだからといって彼らが利をもらってるという証拠はない。
彼らの口座が分かればなあ。



「あれ、Aだけ？」



次にやって来たのは千ちゃんだった。



「うん。皆外出してる」



「じゃあひとまずAに報告。俺とニカはA以外に不当に辞めさせられた人がいないかと思ったんだけど、いた。3年前、Aが就職する前、上層部によるパワハラセクハラが横行してたらしいんだ」



「まあ部下を顎で使ってたり、女性蔑視の傾向はあったな」



私はこの能力のおかげか回避できた気がするが、被害を受けている社員はいた。
私はそういった人たちの心の声が聞こえたとき、人事の人に言っていた。



「それで何人かが組んで本格的に訴えようとしたんだけど、潰されて法外な退職金と引き換えに辞めさせられたって」



「私と一緒だ」



あの人たちはもう独特のコミュニティーが出来ていて反発する異分子がいるようなら容赦なく叩き潰す。
もうこの体制は変わらないだろう。
変わらないなら一気にぶっ叩くしかない。



・

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す